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Jリーグ 7年前

浦和、ACL屈指の破壊力。5試合18ゴールの大爆発。前線の3枚が与える脅威

text by 藤江直人 photo by Getty Images

J1とACLのダブル制覇へ。すでに高い完成度

 最終的に勝ち点で並んだ場合は、当該チーム同士の対戦結果で順位を決める。上海上港とは1勝1敗。得失点差も「0」で並んでいる状況で、アウェイで2ゴールをあげているレッズが優位に立つ。

 敵地に乗り込む来月10日の一戦で勝てば無条件で1位通過が決定。江蘇蘇寧(中国)が1位突破を決めている、グループHの2位チームとベスト8入りをかけて激突する。おそらくはアデレード・ユナイテッド(オーストラリア)か、済州ユナイテッド(韓国)が相手になる。

 つまり、ウェスタン・シドニー戦は勝ったことが重要で、得失点差はグループFの最終的な順位を決めるうえでそれほど意味をもたない。それでも実質的な勝負が決していた後半で、前線の選手たちをゴールへと駆り立てたのは、お互いがお互いを高め合う、いい意味での競争意識に他ならない。

「常にそろい踏みを求めているわけではないですし、チームが勝つことが一番ですけど、僕としてももちろん全試合でゴールを狙っている。今日も取りたかったし、だからこそ次に取れるように頑張ります」

 大宮アルディージャのホーム、NACK5スタジアムに乗り込む30日の「さいたまダービー」へ武藤が闘志をかき立てれば、興梠はラファエル・シルバとのコンビネーションをさらに磨きたいと、J1とACLのダブル制覇を見すえながら静かに語る。

「前が空いたら、まずはラファを見るようにしている。ラファにボールが収まることが、相手にとって一番嫌だろうしね。もちろん自分だけでなく、みんなにとっても刺激になっているし、チームが好調だからそういうこと(ゴールラッシュ)になっていると思うので」

 昨シーズンに続いて攻撃参加を自重しているDF槙野智章から、こんな言葉を聞いたことがある。

「前の選手たちは本当に気持ちよくプレーしているので、後ろの選手たちはカウンターとリスクマネジメントのところに集中してやっています」

 対戦相手の攻撃を封じれば、前線のトライアングルの誰かが必ず点を取ってくれる。チーム内に芽生えた厚い信頼関係を触媒として勢力を増すレッズは、J1だけでなく、ついにはアジアの舞台をも席巻。シーズン序盤にして、手がつけられないほどの圧倒的な攻撃力を身にまといつつある。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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