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Jリーグ 7年前

磐田・小川航基、初ゴール&ハット達成。歯がゆい時期を経て…東京五輪世代エースは一段上に

text by 青木務 photo by Tsutomu Aoki, Getty Images

絶対的FWのジェイが在籍していた昨シーズン

U-20日本代表ではゴールを奪い続けていた小川航基
U-20日本代表ではゴールを奪い続けていた小川航基【写真:Getty Images】

『高校ナンバーワンFW』の看板を引っさげて磐田に加入した昨シーズン、小川はもがいていた。トレーニングマッチではゴールを決め、居残り練習では誰よりも多くのシュートを打ってきた。それでも、出場機会はなかなか訪れない。

 チーム事情も関係していただろう。J1復帰初年度の磐田にとって、第一目標はリーグ残留だ。1点が、1勝が大きな重要性を持つ中で、未熟なルーキーに責任を託すのは難しく、小川にそれだけの力が備わっていなかったのも事実だ。

 当時のチームにはジェイが在籍していた。元イングランド代表ストライカーはフル稼働こそできなかったが、リーグ戦14得点を記録。彼がファーストチョイスであることに変わりはなかった。またCFタイプは5人いて、アタッカーのアダイウトンが1トップを務める試合もあった。

 小川が割って入る隙は、ほとんどないと言っていい状況だった。それでもリーグカップと天皇杯で計3試合に出場している。そこで何かしらの爪痕を残せれば良かったが、シュートを打つこともできなかった。背番号18は積極的にボールを要求した。しかし、自身の受けたい時に受けたい場所へ動くだけではパスは出てこない。プロ1年目は『結果』とは無縁のまま幕を閉じた。

 それでも小川が世代トップレベルのFWとして常に注目されてきたのは、代表チームでゴールを決め続けてきたからだ。ここぞという場面で貴重な得点を挙げる力は間違いなくあった。

 世代を問わず日本代表に招集された選手は快く送り出す、というのが名波監督の方針だ。それは「日本サッカーのためなら」という想いからである。

「『俺はこのチームで必要とされていないのかな』と思う時期もたくさんあった」と、小川が漏らしたことがある。だがU-19(現U-20)代表で存在感を示す中で自信を保ち、より深めることもできたのではないか。

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