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Jリーグ 7年前

工藤壮人、「50番」に込めた決意と覚悟。広島の新エースが向き合う壮絶な重圧

text by 藤江直人 photo by Getty Images

広島のフロントを驚かせた工藤の「50番」希望

工藤壮人
工藤壮人は広島でも柏とバンクーバーで背負った「9番」を希望したが…【写真:Getty Images】

 初めての海外挑戦は17試合で2ゴールという成績で幕を閉じた。5月の試合中に相手GKと交錯して、あごを骨折する大けがを負って約2ヶ月間もの戦線離脱を強いられたこともあり、工藤としてもホワイトキャップスでの2シーズン目へ期する思いを募らせていた。

 そこへサンフレッチェからのオファーが再び届いた。アメリカでの挑戦を継続したい思いを伝えても、昨夏に浅野拓磨(シュツットガルト)が海外へ旅立ち、長くエースとして活躍してきた佐藤寿人(名古屋グランパス)も退団を表明していたサンフレッチェ側の熱意は増すばかりだった。

 そして、時間の経過とともに「自分が必要とされる場所でプレーすることがベストなのでは」と考えるに至った。サンフレッチェへの完全移籍が電撃的に発表されたのは、昨年の大晦日だった。もっとも、ここでちょっとした“問題”が発生する。

 新天地で背負う背番号として、工藤は「9番」を希望した。かつてレイソルで北嶋が背負い、2013シーズンから満を持して継承。ホワイトキャップスでも背負った、工藤にとって神聖な番号だった。

「そうなんですけど、いろいろなチームの事情があったので、そのあたりはしょうがないのかなと」

 工藤が加入した時点で「9番」をつけていたのは昨シーズンの得点王、ピーター・ウタカだった。しかし、清水エスパルスから2016シーズンに期限付き移籍で加入していた元ナイジェリア代表のストライカーは、年俸の高騰もあって契約の延長交渉が難航していた。

 最終的には今シーズンの開幕直後にサンフレッチェへ完全移籍して、そのうえでFC東京に期限付き移籍することが決まった。結果として「9番」は空いた状態となったが、もちろん開幕後まで待つわけにはいかなかった。ならばと、工藤は交渉の席で「50番」を希望してフロントを驚かせている。

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