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楠神順平と田代有三、シドニーの地で活躍する2人の元J戦士。それぞれの立場で挑む異国での戦い

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu, Nino Lo Guidice

楠神は来季も豪州で「得点という結果も求めていきたい」

「これだけ(筆者注:チーム最多タイの公式戦34試合に出場)出してもらって、3得点は本当に申し訳ないという気持ちが強いし、全然納得していない。そこが自分の課題で、ただ走るだけでなくて、アタッカーとして得点という結果も来年は求めていきたい」

 問わず語りに「将来」の話が出た。

 元々2年契約の楠神は、余程のことがない限りは残留が基本路線。ACLグループステージ最終節を終えた後にトニー・ポポヴィッチ監督と面談を行って今後の話をするというが、本人は既にしっかりと来季を見据える。

 それだけではない。「すごく住み心地がいいし、チームの仲間やスタッフにもとても良くしてもらっている。このチームで出来ることがあるのなら、自分としてはできるだけ長くやっていきたい」と契約が切れる来季以降も視野に入れている。

 今季の挑戦で日本時代になかったタフネスを身に付けた楠神の雄姿が来年のAリーグの舞台でも見られるものと期待して待つことにしたい。

 このインタビューで、Aリーグに来た日本人選手にあまねくぶつけてきた質問をぶつけた。

「日本人選手でAリーグに来たら面白いのは誰?」との問いにしばらく逡巡した楠神の口からは、意外な名前が飛び出た。

「それこそ、(田代)有三さんが、うち(WSW)の1トップだったら相当いいと思う」

 今季を通じて1トップを張れる選手の不在に泣いた楠神が抱いた切実な思い。その熱い思いが「あそこで全部収まるし、困ったときにボールを収めてくれる技術のある1トップがいれば、本当に助かる」との言葉で豪州にやってきたばかりのセレッソ大阪時代の先輩へのラブコールとなった。

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