沖縄でプロ、東京で大学生。J3琉球MF名倉巧、18歳が挑む前代未聞の二重生活

今年1月下旬、J3のFC琉球が公表した1人の選手の「内定取り下げ」が波紋を呼んだ。結局は無事に正式契約を結んだが、高卒選手の将来を大きく左右しかねない事態を招いた原因は何だったのか。そしてどんな決意と覚悟を胸にプレーを続けているのか。週の前半は東京で大学生、後半は沖縄でプロサッカー選手という前代未聞の“二重生活”に挑む18歳、名倉巧を直撃した。(取材・文:舩木渉)

2017年05月09日(Tue)12時05分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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琉球加入内定から5日後にまさかの「取り下げ」

名倉巧
FC琉球に所属しながら専修大にも通学する名倉巧【写真:Getty Images】

 今年1月20日にFC琉球への加入内定が発表されながら、わずか5日後に内定の取り下げが明らかになった選手がいた。國學院久我山高出身のMF名倉巧だ。

 結果的に琉球はおよそ2ヶ月後の3月30日に改めて名倉との契約締結を発表した。1月25日の内定取り下げ時には「契約までの手続きや確認不足等、弊社に不備」があったことが公表されており、正式加入決定時には「クラブでの手続き不備により1月度での合意が出来ず、関係各位、ファンの皆様にはご迷惑ご心配をお掛けしたことを改めてお詫び申し上げます」との謝罪がクラブ公式サイトに掲載された。

 名倉本人は琉球加入が正式に決まった際、「専修大学での学業に励みながらのチャレンジとなりますが、期待に応えられるよう全力で頑張ります」とコメントしている。だが、専修大学には通信教育課程がない。

 琉球が本拠地にしている沖縄からどのようにして“学業”に励んでいるのだろうか。名倉本人にその話題を振ると、琉球加入に至った経緯を説明してくれた。

「プロの誘いがあれば高卒の段階で行きたいという気持ちがあったんですけど、そういう話がなかったので大学に進学して、その後プロを目指そうと思っていました。(進学が)決まってから(琉球入団の)話をもらったので、こういう形(加入内定取り下げ→正式契約)になりました。それが指定校推薦だったため問題になってしまって、大学には通わなくてはいけなくて、そうなったら通いながらやるしかないなと」

 指定校推薦とは大学や短大、専門学校などが実施している推薦入試制度の一つで、公私立問わず多くの学校で導入されている。一般的には大学によって指定された高等学校が、内部で進学希望者を選抜し、その後大学が面接などの試験を行って合否を判定する仕組みになっている。

 この制度は指定校となる高等学校と推薦枠を設ける大学側の信頼関係に基づいて成り立っている側面があり、指定校推薦を受けた生徒は大学による独自の試験まで進めば不合格になる可能性は極めて低い。そのため合格すると入学を断ることができなくなってしまう。仮に合格を辞退してしまうと、入学予定だった大学から、その生徒が在籍していた高校に対する指定校推薦枠がなくなってしまうことが危惧される。

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