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Jリーグ 7年前

沖縄でプロ、東京で大学生。J3琉球MF名倉巧、18歳が挑む前代未聞の二重生活

text by 舩木渉 photo by Getty Images

逆境をプラスに変える思考力。厳しいスケジュールでもレギュラー確保

 現在の名倉のスケジュールは、琉球側の理解もあって大学生としてしっかりと通学できるよう組まれている。月曜日から木曜日まで1日4コマ授業を受け、木曜日の夜に飛行機で沖縄へ帰る。そして金曜日からチームに合流し、週末の試合に出場している。

 東京で過ごす月曜日から木曜日までは國學院久我山高と琉球でフィジカルコーチを務める三栖英揮氏のジムで体を動かし、ボールに触るのは水曜日に自宅近くの公園でのみ。専修大学サッカー部の練習に混ざることはできない。

 そんな厳しい状況でも信頼をつかんだ名倉は、デビュー戦となった4月1日のJ3第4節ガンバ大阪U-23戦に先発出場すると、いきなり2ゴールの活躍を披露した。以降も主力としてピッチに立ち続けている。

「今の時期はボールコントロールというより、フィジカル面で成長していくことが必要だと思っているので、そういう意味ではマイナスの環境をプラスに変えていければいい。火曜、水曜でしっかりとフィジカル的なトレーニングをして、技術的な面はこの年齢になったらそんなに落ちないと思っているので、ボールトレーニングもやりますが、一番はフィジカル的な部分で成長していけたらと思っています」

 他の選手たちと違い、満足にボールを蹴ることができない現状でも前向きに成長できる部分を探している。“文武両道”を掲げている國學院久我山高サッカー部出身だからこその考え方だろう。

「(琉球加入は)チャンスだと思いました。大学に通って4年間やって、プロに行けなかったら後悔すると思うので、話がある時にプロに行くチャンスを生かしたかった。國學院久我山で文武両道を3年間やってきたので、それをこれからも4年間続けていくだけの話です。それを実現させるのは難しいですが、やりきることが大事だと思うので、いまはこの状況で頑張っています」と名倉は力強く語る。

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