ACL初の女性監督が語る指導者論。28歳の新米監督が乗り越えた困難、そして川崎への感謝

2017年05月10日(Wed)12時56分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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「監督は固定観念に縛られてはいけない」

チャン・ユエンティン
チャン・ユエンティン監督は選手たちからの信頼も厚い。それは綿密なコミュニケーションの賜物だった【写真:Getty Images】

 チャン監督は選手たちから絶大な信頼を獲得している。「私は自分が特別だと考えてはいません。男性の監督だろうと、女性の監督だろうと、目の前の仕事に全力を尽くすことこそが重要なのであって、人々の言うことを気にするべきではありません。選手たちがどう感じるか、どんなトレーニングプランを持っているか、自分の指導に耳を傾けてもらうかが重要になります」とは語るが、自分よりも年上の選手たちが多いチームを団結させるには相当な困難があったはずだ。

 選手との信頼構築において彼女が最も重要視していたのは綿密なコミュニケーションだった。元々データアナリストだった経験を生かし、数字に基づいて選手個人と対話を重ねることで互いの信頼を深めていった。

「私と選手たちは互いをリスペクトしています。素晴らしい経験やフットボールに関する優れた知見を持っている選手もいますし、私が彼らの話に耳を傾けて知識を得ることもあります。監督は固定観念に縛られてはいけないと思っています。互いから学ばなければならない。そうすれば彼らも監督という仕事を理解して常に敬意を払ってくれ、私の決断についてきてくれます」

 現在28歳のチャン監督は元香港女子代表選手でありながら、香港中文大学の大学院を修了している。専攻は運動医学や健康科学分野で、「データによる分析や知識は選手たちを強くします」と語る通り、サッカーにおけるスポーツ科学の重要性を理解している人物でもある。

「データ分析は自分のことを理解し、相手のことも理解することができます。データによる証明は選手たちに自信を与えることにもつながります。チームに問題があればそれを伝え、選手たちはその問題を理解する。そうすれば解決法も見つかり、チームとして成長することができるんです」

 だが、チーム一丸となって挑んだ香港勢として初めてのACLグループステージでは、力の差を思い知らされることとなった。退場者を2人出して0-7で敗れた広州恒大との初戦は「本当に印象的な試合でした」とチャン監督は語る。

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