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Jリーグ 7年前

「FW闘莉王」の心意気。時限的ではないコンバート。大混戦J2、京都が放つ不気味な存在感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

先発を外れた試合でチームは不調に。痛感した責任

 コンディションが万全ではないなかで、それでも復帰後は8試合すべてで先発フル出場を果たしている。何が36歳になった闘莉王を突き動かしているのか。1つ目は責任感だ。

 先発を外れた第3節からの5試合で、サンガは1分け4敗とひとつも勝てなかった。一時は21位と、下にはザスパクサツ群馬しかいないどん底にまで落ちたこともある。闘莉王は責任を痛感していた。

「試合に出られなかった申し訳なさを、非常に強く感じている。自分が出られなくて勝ち点をなかなか得られなかった分を、いまはいい感じで拾えてきている。まだまだ順位は全然下なので、この調子を続けて、僕たちは上へ行かないといけないので」

 ヴェルディ戦でも、テクニックに長けた相手のボール回しに翻弄された。40分にはFWドウグラス・ヴィエイラに先制弾を許したが、トラップ際にボールが左手に当たったようにも見えた。

 闘莉王は副審に激しく抗議したが、ハンドは認められない。前半を1点のビハインドで終えて引き揚げる際も、審判団に詰め寄った。そして、ロッカールームで吠えた。勝者のメンタリティーを訴えた。

「ここからだぞ、ここからが試されるぞ。内容がよくない試合でも勝っていかないと、上へは行けないぞ」

 後半22分にセットプレーからDF本多勇喜のヘディング弾で同点に追いつくと、35分にはオリスが目の覚めるような豪快なミドルシュートを一閃。敵地に詰めかけたサポーターを狂喜乱舞させた。

 自陣から仕掛けた乾坤一擲のカウンター。ボールを必死にもち運んだボランチの吉野恭平から信頼感とともにパスを預けられ、オリスへ絶妙のボールを落としたのは闘莉王だった。

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