柏を変えた育成哲学。アカデミー育ちが台頭…ようやく見出した「8+3」の最適なバランス

 J1戦線で暫定首位をキープする、柏レイソルの先発メンバーが異彩を放っている。アカデミー出身の選手が実に8人を数える陣容は、Jリーグ全体でも稀有といっていい。U-12からU-18までのアカデミー全体が「自分たちがボールを保持する攻撃的なサッカー」というコンセプトで統一されたのが2010シーズン。長い年月をかけて追い求めてきた「8+3」、先発11人のうちアカデミー出身者が8人を占める目標を成就させる中で、最適のバランスを得た結果が今シーズンの快進撃につながっている。(取材・文:藤江直人)

2017年06月20日(Tue)12時50分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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レイソルが長年追い求めた「8+3」

柏レイソル
柏レイソルの浦和レッズ戦スタメン。上段右端の伊東、左から2番目のクリスティアーノ、下段右端の小池以外はアカデミー出身【写真:Getty Images】

 決して芳しくなかった開幕前の下馬評を鮮やかに覆し、全日程の半分近くを消化したJ1の首位を走っている柏レイソルが、長く追い求めている数字がある。

 それは「8+3」――。

 先発メンバー11人のうち、3人の外国人選手を除く8人を、柏レイソルU-18以下のアカデミー出身の選手で占めようという壮大なプランだ。

 はっきりとした目標として掲げられたのは2010シーズンの後半。U-15およびU-18のコーチや監督を歴任してきた吉田達磨(現ヴァンフォーレ甲府監督)が、アカデミーダイレクターに就任した年だ。

 それまでは各カテゴリーを率いる指導者によって異なっていたコンセプトを、吉田が標榜してきた「自分たちがボールを保持する攻撃的なサッカー」で統一。U-12からU-18まで強く、太い芯が通された。

 2010シーズン当時のU-18の1年生には、ハリルジャパンに招集されたGK中村航輔、前線のダイナモとしてポジションを確立した身長155cmのMF中川寛斗がいた。

 さらに、U-15の最上級生にあたる中学3年生にはDF中谷進之介、2年生ではMF手塚康平がプレー。翌2011シーズンには、茨城県竜ケ崎市の愛宕中学校でプレーしていたDF中山雄太も加わる。

 ここまで名前を挙げた5人はいま、トップチームの先発メンバーに名前を連ねている。2010シーズン当時すでにU-18を巣立っていたDF輪湖直樹、FW武富孝介も吉田の薫陶を色濃く受けている。

 そこへU-15に入団した1997シーズンからレイソルひと筋でプレーするバンディエラで、不動のキャプテンでもある32歳のMF大谷秀和を加えた8人は、代表招集による離脱を除いて5月に入ってから一度も先発から外れていない。

 今季をさかのぼれば、1‐2で苦杯をなめた3月10日の川崎フロンターレ戦で初めて「8+3」が実現した。さらにさかのぼること1年。昨年3月19日のサガン鳥栖戦、電撃辞任したミルトン・メンデス前監督からバトンを引き継いだ下平隆宏監督の就任2試合目で、実は「8+3」が達成されていた。

「クラブとして『8+3』を目指してきましたが、だからといって意図的にアカデミー出身の選手を使っているのではなく、当然ですけれどもしっかりとした競争の中から、調子のいい選手が使われています」

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