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Jリーグ 7年前

栗原勇蔵、マリノス一筋CBの誓い。大幅減俸受け入れた33歳、16年目のプロ意識

text by 藤江直人 photo by Getty Images

愛するマリノスの一員としてユニフォームを脱ぐ夢

 若かりし頃は「ケンカ番長」や、あるいは「ハマの番長」なるニックネームをつけられた。屈強なフィジカルと相まって武闘派のイメージがあるが、素顔は優しく、情にも厚い。

 後輩の面倒見もいいことは、レフティーの天野が右足で決めた千金の決勝点に対するコメントからも伝わってくる。

「嬉しかったけど、(天野)純が右足で入れるというのは奇跡に近いこと。自分が出ている試合で、奇跡が起こってよかったですよ」

 もちろん、センチメンタルな感情だけに支配されているわけではない。いつ出番が訪れても100%のパフォーマンスを演じられるように、プロフェッショナリズムにかけて常に準備を整えておく。

 後半5分には至近距離から放たれた、大久保の強烈なシュートに体を張ったブロックで対抗して弾き返した。ウタカと大久保という2人の得点王経験者を前にして、往年の闘志が蘇ってきた。

「最近はそういう機会もなかったし。久々に戦う相手がそういう人たちだったから、久々に思い出したというか。やっぱり楽しいし、また頑張ろうという気持ちになりましたよね。
あとは(中澤)佑二さんが、プレーしながら細かいところをちょっとずつ修正してくれた。そこはあの人のすごさだと思うし、助けられましたよね」

 感謝の思いを告げられた中澤も「特に気をつけることはなかったですよ」と、栗原との鉄壁コンビ復活に言葉を弾ませた。

「(栗原)勇蔵はヘディングが強いからね。安心して自分の背後を任せられる、というのはありますね」

 胸中にひとつの夢を抱いている。バンディエラとして、愛するマリノスの一員としてユニフォームを脱ぐこと。それをかなえるためにも、目の前の1分1秒を疎かににするわけにはいかない。

「まあ、入団したときからそれはあったので、そうなるかどうかはわからないですけど、そういう気持ちは常にもっていますけど」

 ヴィッセル神戸をホームに迎える25日の次節も、デゲネクは不在となる。再び訪れるであろうチャンスへ、存在感を示したベテランは「これを続けなければダメだから」とすぐに臨戦モードに入っていた。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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