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ザルツブルクとライプツィヒ、CL出場めぐる“RB問題”の顛末。“兄弟クラブ”に向けられた懸念

6月20日、UEFAはRBライプツィヒ(ドイツ)とレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)が17/18シーズンのCLに出場することを認めると発表した。どちらのクラブもレッドブルが関わっており、CL同時出場はUEFAの規約に抵触するのではないかという議論がなされていたが、いったい争点はなんだったのだろうか。(文:本田千尋【ドイツ】)

text by 本田千尋

オーストリア発の一報が引き金に

レッドブル・ザルツブルクでプレーしている南野拓実(右)とRBライプツィヒのナビ・ケイタ(左)
レッドブル・ザルツブルクでプレーしている南野拓実(右)とRBライプツィヒのナビ・ケイタ(左)【写真:Getty Images】

 引き金を引いたのはオーストリア発の1つの記事だ。2017年2月22日、『ザルツブルガー・ナッハリヒテン(SN)』電子版が「RBライプツィヒがチャンピオンズリーグ出場の禁止に瀕している」という見出しの記事を掲載した。

 2月22日の時点でRBライプツィヒはドイツ・ブンデスリーガの2位を快走中。一方でオーストリア・ブンデスリーガでは、RBザルツブルグが首位に浮上していた。

 そのままリーグ戦を終えれば、世界的飲料メーカーのレッドブルが出資する2クラブが、同時に来季チャンピオンズリーグの出場権を得る(ライプツィヒは本戦にストレート・イン、ザルツブルクは予選2回戦から)、という状況である。

 ところが『SN』が得た情報によれば、UEFAから「最初のシグナル」が発せられたのだという。RBライプツィヒかRBザルツブルクか、どちらか一方のクラブだけが来季CLへの出場を許される、といったものだ。

 記事中ではUEFAの規約を紹介。その内容は「同一の出資者または同一の個人により運営される2つのクラブがヨーロッパで同時にプレーすることはできない」と記されている。つまり両クラブがレッドブルという「同一の出資者により運営される2つのクラブ」と見なされ、規約に抵触することをほのめかしている。

 このザルツブルクの地元紙の記事に『ビルト』、『エクスプレス』、『シュポルト1』などドイツメディアが瞬く間に反応。飢えたハイエナのように群がった。各媒体の電子版は『SN』の名前を引用しながら、RBライプツィヒの来季CL出場禁止の可能性を報じている。

 なぜオーストリアではなくドイツのクラブの方が出場禁止になるのかというと、これまたUEFAの規約によれば、それぞれの国内リーグでより上位に位置するチームを優先するからである。つまりオーストリア1位とドイツ2位では、前者にCL出場権が与えられるのだ。

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