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ザルツブルクとライプツィヒ、CL出場めぐる“RB問題”の顛末。“兄弟クラブ”に向けられた懸念

text by 本田千尋

2つのRB、形式上の区別

 この報道にオリバー・ミンツラフ氏は、いきなり後頭部を撃たれたような感覚だったのかもしれない。

「驚きながらザルツブルガー・ナッハリヒテンの記事を読んだよ。私を信じてほしいのだが、RBライプツィヒは全くナーバスになっていないし、推定されたUEFAのシグナルもない」

 RBライプツィヒのCEOは、オーストリア発の記事の一部を否定するコメントを残した。UEFAによる「最初のシグナル」はクラブに届いていないという。

 またセンセーショナルな記事の最後は「レッドブル・コンツェルンのほとんどがナーバスになっていてもおかしくはない」と結ばれているが、それも虚偽と主張。スポーツ面においてCLの出場資格を得ようとする限りでは、来季の参加を疑う根拠はないとのことである。

 もっとも、ミンツラフCEOが面食らった『SN』の記事を、ドイツメディアも額面通りに受け取ったわけではなかった。例えば『ビルト』電子版は、2月22日付の記事の見出しに「RBライプツィヒがチャンピオンズリーグ出場の禁止に瀕している?」とクエスチョンマークを入れている。そして記事中で、重要な情報をゴシック体で記した。

 「ザルツブルクでレッドブルは公式にスポンサーでしかない。したがって両クラブ間の形式上の区別が引き起こされる」

 このことは『SN』も説明してはいる。「通常のメインスポンサー契約がレッドブルとザルツブルクの間に存在するだけである」と記されている。

 RBライプツィヒの場合、厳密には、有限責任会社レッドブルが有限責任会社RBライプツィヒの共同出資者として99パーセントを占めている。そして「50+1ルール」に抵触しないよう、49パーセントの決議権を持っているのだ。なお、このドイツ・ブンデスリーガ特有の「50+1ルール」とは、一つの企業やオーナーがクラブの決議権の50パーセント以上を持つことを禁止するものである。

 つまりRBザルツブルクとRBライプツィヒでは、レッドブルの立ち位置が違う。オーストリアでは“メインスポンサー”であり、ドイツでは“共同出資者”である。

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