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Jリーグ 7年前

名波ジュビロ、躍動の2017前半戦。守備の改善が結実。サックスブルーはさらなる高みへ

text by 青木務 photo by Getty Images

強敵相手の3連勝も、慢心は広がらず

昨年よりもスケールアップしているジュビロ磐田
昨年よりもスケールアップしているジュビロ磐田【写真:Getty Images】

 もちろん、3バックの奮闘だけで守備の安定を語ることはできない。守護神のカミンスキーは毎試合ファインセーブを見せ、最前線の川又堅碁のファーストディフェンダーとしての貢献も見逃せない。ムサエフの帰陣の素早さは、名波監督も「ワールドクラス」と舌を巻く。また中村俊輔を中心に、試合状況に応じた戦いができている点もポジティブな要素だろう。

 ピッチに立つ11人が、それぞれの役割を全うしているからこその好調ではある。それでも高橋、大井、森下が守備の完成度を高め、チームに安定感をもたらしているのは間違いない。

「1試合1試合、全力でやるだけ」

 選手たちはこう口にする。『常套句』と言われれてしまえばそれまでだが、選手たちは目の前の試合の重要性をしっかりと理解して戦っているように思う。そうした姿勢がなければ勝利は掴めないはずで、6月を全勝で終えることなどできなかっただろう。

 5月14日の第11節・川崎フロンターレ戦を皮切りに、磐田はリーグ屈指の強豪との6連戦に臨んでいる。最初の3試合は川崎F、柏レイソル、サンフレッチェ広島を相手に1勝も挙げられなかった。この6戦を名波監督は「茨の道」と話していたが、厳しい結果に直面してもおかしくなかった。しかし、ガンバ大阪、浦和レッズ、FC東京を立て続けに撃破。世間の驚きをよそに、サックスブルーは勝ち点と自信を積み上げていった。

 そして、3連勝を果たしてもチームに慢心が広がることはなかった。前節・アルビレックス新潟戦でゴラッソを決めた櫻内渚は、紙一重のゲームをモノにしてきたと語る。

「カミック(カミンスキー)が止めてくれたり、相手のミスで外してくれたりと、危ないシーンが全くないかといったらそんなことはなかった。でも、相手のシュートを0本に抑えるくらいの気持ちでやっていけば負けることはないとも思えた。勝ってはいるけど内容がめちゃくちゃいいかといえばピンチもあるので、しっかり修正するところはしていきたい。危機感は全選手が持っているので」

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