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Jリーグ 7年前

C大阪・山村和也、トップ下で開花した才能。ユン監督の慧眼。本人も知りえなかった潜在能力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

すでに7ゴールを記録。試合中のポジション変更も柔軟に

 レッズ戦では新体制発足後に、セビージャから電撃的に加入した清武弘嗣を故障で欠いていた。本来の司令塔が復帰するまでの時限的な措置かと思われた山村のトップ下起用は、実際に清武がピッチに立った北海道コンサドーレ札幌との第3節以降も継続されていく。

 前方にワントップの杉本、左に柿谷、右には清武が配され、後方からはソウザと日本代表の山口蛍に支援される新布陣のなかで、山村は長崎・国見高校時代に務めたことのあるトップ下の感覚を、時間の経過とともに蘇らせていった。

「僕自身も本当に意外だったというか、できるのかなという半信半疑の部分はあったんですけど。でも、最初から楽しみながらプレーすることできたし、周りのいいサポートもあって少しずつ慣れてきてチーム全体が連動するようになり、いい攻撃につながっているのかなと思います。

 たとえば動き出しの部分ではどちらかが裏へ抜けて、どちらかが足元でもらうといった具合に、僕と(杉本)健勇の動きが重ならないことが一番大事にしていますし、僕がサイドに張るときには、バイタルエリアのスペースを(柿谷)曜一朗や(清武)弘嗣が使えるように心がけています」

 チームへフィットした証は記録として刻まれる。コンサドーレ戦以降は先発に定着し、ともに1‐0で勝利したサガン鳥栖との第4節、古巣・アントラーズとの第6節での決勝弾を含めて7ゴールをマーク。杉本の8ゴールに次ぐ数字であり、アントラーズでの4年間であげた4ゴールをあっさり更新した。

 前述したように追いかける展開では最前線で高さを、リードを奪ってからは最終ラインで守備力を生かす一人三役としても貢献。選手交代のカードを使うことなくフォーメーションを変えられる点で、ユン監督の采配を大きく助けてもいる。

「フォーメーションが変わっても、自分がやるべきことはある程度、整理できているつもりなので、その意味では戸惑いはなかったですね。(最終ラインに下がることも)試合の流れのなかでけっこう多いので、その準備は常にしています」

 こう語る山村が三役を務めあげたレイソル戦は2‐1で逃げ切り、キンチョウスタジアムでは歴代2位の1万6759人で埋まり、チームカラーのピンク色で染まったスタンドと勝利の喜びを分かち合った。

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