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Jリーグ 7年前

C大阪・山村和也、トップ下で開花した才能。ユン監督の慧眼。本人も知りえなかった潜在能力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「僕よりもキープ力がありますよね」(杉本健勇)

セレッソ大阪のユン・ジョンファン監督
セレッソ大阪のユン・ジョンファン監督【写真:Getty Images】

 ターニングポイントは、今シーズンから指揮を執るユン・ジョンファン監督の慧眼に他ならない。開幕へ向けたキャンプ中の練習試合などで山村がトップ下に配置される光景は、ある意味でチーム内に大きな驚きとカルチャーショックを与え、時間の経過とともに全員を「なるほど」とうなずかせた。

「高さを含めて前線で起点になれるし、足元の技術も高い。何よりも守備面で、トップ下の位置から力強くスイッチを入れてくれる。スピードはそれほどないですけど、とにかく運動量はすごい。彼の動きが非常に効いているし、チームにもいい影響をもたらしてくれている」

 セレッソの元祖レジェンドで、いま現在はチーム統括部内のフットボールオペレーショングループのトップを務める森島寛晃氏が目を細めれば、ワントップの位置で山村と縦の関係を築く杉本健勇も「僕よりもキープ力がありますよね」とこう続ける。

「加えてテクニックもあるし、走れるし、守備もできるのですごくやりやすい。お互いに練習の段階からよく話し合うことで、コミュニケーションも取れてきていると思う」

 山村がトップ下として公式戦で“デビュー”したのは3月4日。浦和レッズのホーム、埼玉スタジアムに乗り込んだJ1第2節の後半28分だった。2点を追う状況で投入され、それまで杉本とツートップを組んでいた柿谷が2列目の左サイドに回ってから、にわかにセレッソの攻撃が活性化された。

 前線における起点が増えたことでチーム全体が押し上げられ、さらには187センチの杉本に186センチの山村が加わったことで、クロスやセットプレーにおける「高さ」でも相手の脅威になる。ユン監督をして「特に前半はいいところが何ひとつなかった」と嘆かせた試合展開を劇的に変えた。

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