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Jリーグ 7年前

C大阪・山村和也、トップ下で開花した才能。ユン監督の慧眼。本人も知りえなかった潜在能力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「新しい課題が出てきて、自分としては面白いと感じています」

柏レイソル戦に勝利し首位に浮上したセレッソ大阪
柏レイソル戦に勝利し首位に浮上したセレッソ大阪【写真:Getty Images】

 レッズに負けた第2節以降で、喫した黒星はわずかにひとつだけしかない。5月6日に0‐1で苦杯をなめさせられたレイソルにしっかりと借りを返し、FC東京と引き分けたアントラーズを勝ち点1差で上回ってついに単独首位に立った。

 セレッソの歴史を紐解けば、首位に立つのは2005シーズンの第33節以来、実に12年ぶりとなる快挙。攻守両面で抜群のハーモニーが奏でられ、7勝1分けと連続無敗試合を「8」に伸ばした新生・セレッソの中心で大きな存在感を放つ山村はしかし、現状に満足することなく貪欲に前を見つめる。

「レイソル戦の前半は、僕たちがボールを収めることができなかった。相手にボールをもたれる時間が長かったこともあって前半のうちに失点してしまったけど、90分間を通して走り切れるところが僕たちの強みでもあるので、そうした献身的な姿勢が結果につながっているのかなと思う。

 個人的にはボールを受ける部分でスペースがなくて難しくなる試合や、難しくなる時間帯があるので。そうなったときにどのようなタイミングで受ければいいのかを、周りとコミュニケーションを取りながら詰めていきたい。新しい課題が出てきて、自分としては面白いと感じています」

 第18節を最後に、J1は今シーズンから新設されたサマーブレイクに入る。もっともセレッソはセビージャと17日に『StubHub ワールドマッチ2017』で対峙。22日には『スルガ銀行チャンピオンシップ2017』にレッズが出場する関係で、8月13日に開催される第22節が前倒しで行われる。

 セビージャ戦は世界との差を、レッズ戦は開幕直後からどれだけ力を伸ばせたのかをはかれる、それぞれ絶好の機会となる。レッズ戦を終えれば、敵地・市立吹田サッカースタジアムでガンバ大阪との大阪ダービーからリーグ戦が再開。優勝戦線が一気に白熱化していくが、山村はいたって泰然自若としている。

「まだ18試合が終わっただけなので。これからの1試合、1試合をしっかり勝って、終わったときに喜べるようなシーズンにできたらいいなと思っています」

 1995シーズンのJ1初参戦以来、いまだタイトルを獲得していない歴史に、光り輝く1ページを書き込むために。真夏の消耗戦の先に豊穣の秋を見すえるセレッソの中心に、適材適所を見抜くユン監督のもとで本人も知りえなかった潜在能力を開花させ、無欲の心で確実に、力強く前へ進んでいく山村がいる。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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