ヴェルディで起きている変革。スペインの智将・ロティーナ監督が選手に与える要求

スペインのラ・リーガで一時代を築いた智将、ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督のもとで変貌を遂げつつある東京ヴェルディ。組織的な堅守をベースに、リスクを排除した戦いで上位に食らいつきながら突入した後半戦は、それまでの戦いから大きな変化が生じている。キャプテンのDF井林章の言葉をもとに、10年ぶりのJ1昇格を目指す、Jリーグ黎明期の盟主の現在地を紐解いた。(取材・文:藤江直人)

2017年07月11日(Tue)15時29分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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2バックに近い4バック。明確なメッセージ

今季から東京ヴェルディの指揮を執っているミゲル・アンヘル・ロティーナ監督
今季から東京ヴェルディの指揮を執っているミゲル・アンヘル・ロティーナ監督【写真:Getty Images】

 開幕へ向けた準備を進めながら、今シーズンから東京ヴェルディの指揮を執るスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、選手たちにこんな言葉をかけていた。

「シーズンが折り返すころには、もっと強い要求をしていく」

 基本的には個人よりも組織。堅実な守備をベースに、リスクを冒さない戦い方で確実に勝ち点を積み重ねた結果として、セルタやエスパニョールといった中堅クラブをラ・リーガの上位に導いてきた。

 60歳を迎えたばかりの智将によるアプローチは、ヴェルディにおいても変わらない。短い時間で守備組織を整備し、大分トリニータとの第2節からは破竹の5連勝をすべて完封で達成している。

 だからこそ、ホームの味の素スタジアムにファジアーノ岡山を迎えた9日のJ2第22節で振るった采配は異彩を放った。くしくも指揮官が開幕から言及していた、長丁場のシーズンの後半戦初戦でもあった。

 1点を追う後半26分。2枚目の交代カードとしてDF永田充に代えてFW高木大輔を投入し、最終ラインの形をそれまでの3バックから4バックに変えた。キャプテンのDF井林章は、ロティーナ監督からの明確なメッセージを感じていた。

「4バックというよりは2バックに近い感じでした。かなりリスクはありましたけど、それでも攻勢に出るという考えのもとで、ディフェンダーを一人削ったんだと」

 それまでは左右のワイドだった安在和樹と安西幸輝が、左右を入れ替える形でサイドバックに配された。レフティーの安在が右サイドバックを務める。要は攻め上がってからクロスをあげるのではなく、中へ切れ込んでからのコンビネーションやミドルシュートが求められる。

 左の安西も然り。必然的に両サイドバックは、まるでウイングのように高い位置を取る。井林が思わず苦笑いした2バックのもとで一気にプレッシャーを強めたヴェルディは、布陣変更から4分後に獲得した左コーナーキックを、DF平智弘が豪快に頭で決めて同点とした。

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