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Jリーグ 7年前

鹿島から世界へ。鈴木優磨と安部裕葵、綺羅星たちがセビージャ戦で体感した「基準」

text by 舩木渉 photo by Getty Images

セビージャ戦を心底楽しんだ安部。観客の度肝抜いたドリブルへの自信

 小学1年生の頃から鹿島アントラーズ一筋の21歳は、一言一言に力を込める。セビージャ相手の2ゴールに一喜一憂することなく、現状をいかに打破して次のレベルへ到達するか、それだけが鈴木の目線の先にある。

 一方、安部は飄々としていた。2ゴールの先輩を差し置いて獲得したマン・オブ・ザ・マッチについて「そういうのがあるのも知らなかった」と、特に大喜びすることもない。

 広島県の瀬戸内高校に進学から鹿島に加入して1年目の安部は、本田圭佑がプロデュースするSOLTILO FCの系列チームにあたる東京都S.T.F.Cから輩出されたプロ選手第1号でもある。今季のリーグ戦出場は2試合とわずかだが、取材時の受け答えは非常に落ち着いており、すでに大物ぶりが漂っていた。

「とりあえず『止めて・蹴る』がとてもうまくて、やっぱり自分ももっと『止めて・蹴る』という基礎を練習しないといけないなと思いました。前半はピッチの外から見ていて、すごく勉強になった。今日の試合は自分にとってすごく楽しくて、見ていても楽しくて、やっていていても楽しくて、すごく充実した試合でした」

 鈴木と同じく、セビージャとの対戦を心底楽しんだ。安部は自分のドリブルが通用すると、試合前から自信を持っていたという。「自分は縦にすごく速い選手という長所を理解しているので、ああやって押し込まれている時に僕が前に推進力を出したら相手が嫌がることはわかっていた」と語る表情は自信に溢れていた。

 前半、鹿島はセビージャに試合の主導権を握られた。あれほど振り回されるJリーグ王者の姿はなかなか見られない。相手の巧みな駆け引きに翻弄され、次々チャンスを作られる。コンディションこそ万全でなかったとはいえ、鹿島がカウンターを狙うしかない状況でドリブラーの積極果敢な仕掛けは確かに生きる。

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