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Jリーグ 7年前

神戸・ポドルスキが与える別次元の緊張感。W杯優勝選手と対峙、J1守備陣への相乗効果

text by 藤江直人 photo by Getty Images

スタジアム全体を支配した一触即発の雰囲気

ポドルスキと中谷は一時一触即発の雰囲気に
ポドルスキと中谷は一時一触即発の雰囲気に【写真:Getty Images】

 キックオフ早々の肉弾戦で中谷の後塵を拝したポドルスキは、アルディージャ戦でも再三にわたってみせた、中盤や状況によってはボランチの位置に下がってのゲームメイクに重点を置くようになる。

 放ったシュートは前後半で1本ずつ。前半13分にツートップを組むキャプテン、渡邉千真が右サイドからあげたクロスにファーサイドで合わせたボレーはミートせず、ゴールラインを割った。

 後半3分の右コーナーキックでは、こぼれ球に対してペナルティーエリアの外側から左足を振り抜いた。しかし、レイソルの黄色いユニフォームが視界に入ったのか。シュートはバーの上を大きく越えた。

 このときに限らず、ポドルスキはセットプレーでゴール前の密集地帯に加わらず、やや離れた位置でこぼれ球を狙う姿勢を貫いている。ゆえに中谷も「もう少し1対1で仕掛けて……」と言いかけたはずだが、一方で前半31分には心理戦に巻き込まれている。

 自陣からヴィッセルの選手が縦パスを入れる。ターゲットは最終ラインの背後へ走り出していたポドルスキ。もっとも、警戒感を緩めなかった中谷がポドルスキの前方へ一歩速く回り込んでコースを切る。

 このとき、中谷の右手の一部が競り合ったポドルスキの顔面にヒット。不可抗力のプレーに映ったが、ポドルスキはその場にもんどりを打って倒れ込み、中谷にはイエローカードが提示された。

 しかも、苦悶の表情を浮かべながら立ち上がったポドルスキが中谷に詰め寄り、そこへレイソルのFWディエゴ・オリヴェイラも加担。一時は一触即発の雰囲気が、スタジアム全体を支配した。

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