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Jリーグ 7年前

神戸・ポドルスキが与える別次元の緊張感。W杯優勝選手と対峙、J1守備陣への相乗効果

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「イライラさせたら僕たちの勝ちだと思っていた」

後半にダメ押し弾を叩きこんだ中山雄太(5番)。4番は中谷
後半にダメ押し弾を叩きこんだ中山雄太(5番)。4番は中谷【写真:Getty Images】

「あれは当たっちゃっています。ひじではないけど、右手のどこかが」

 競り合いのなかでの接触を認めた中谷は、通算3枚目のイエローカードを潔く受け入れた。それでも、その後の小競り合いでは一歩も引くつもりはなかったと胸を張って振り返っている。

「あそこで自分が引き下がってしまったら、何だろう、相手の思い通りになるというか。僕はディフェンダーなので、熱くなるというか、そこは負けないようにしました」

 ポドルスキとしてはややオーバー気味なアクションで、中谷のイエローカードを誘発。さらに威圧をかけることで、その後の積極的なプレッシャーを封じ込めようとしたのかもしれない。

 しかし、中谷は屈しなかった。逆転した直後の後半29分に三度マッチアップしたときには、ファウルを厭わない激しい肉弾戦を展開。ペナルティーエリアのやや外側でポドルスキに最後まで前を向かせず、右側にいたMF三原雅俊へのパスに切り替えさせた。

 むしろ、苛立ちを募らせていったのはポドルスキだった。後半22分にMF田中英雄が報復行為で一発退場になり、ワントップになってさらにボールが回ってこない状況になるとより顕著になった。

「イライラさせたら僕たちの勝ちだと思っていた。それが上手くはまったかどうかはわからないけど、点も取られていないし、結果としては表れていたんじゃないかと思います」

 こう振り返った中山は後半31分、MF伊東純也が落としたボールに利き足の左足を一閃。ペナルティーエリアの外側からポドルスキも顔負けの、ダメ押しとなる今シーズン初ゴールを決めている。

 この場面をちょっとだけ巻き戻してみる。直接フリーキックのこぼれ球を右タッチライン際まで開いて受け取り、ゴール前にいた伊東へ絶妙のパスを通したのは中谷だった。

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