今季のJ1前半戦、最大のサプライズ
今季のJ1リーグ前半戦で最も大きなサプライズとなったのが、C大阪・山村和也の“トップ下コンバート”ではないだろうか。公式戦で初めて披露されたのが、第2節の浦和戦だった。
この試合、ベンチスタートとなった山村だが、1-3でリードされた73分、丸岡満(長崎へ移籍)と交代でピッチに入ると、杉本健勇との2トップに近い位置を取り、柿谷曜一朗が左サイドに回った。
すると、以降の時間帯は、運動量が落ちた浦和に対し、C大阪が高い位置からボールを奪う場面も増え、攻勢を仕掛けた。80分には、柿谷のクロスに山村が惜しいヘッドを放つシーンもあった。
今後につながる可能性を大いに感じさせた“山村の前線起用”だが、この時点ではあくまでオプションの域を出ないかに思われた。
開幕前の宮崎キャンプから試されていた形とは言え、山村本人も、「まさかトップ下でこうやってシーズンを通してプレーするとは、(その時は)思い描いていなかったですね(笑)」と今回のインタビューで率直な感想を打ち明けている。
ただし、第3節の札幌戦でトップ下として先発した山村は、以降もこのポジションを主戦場として試合を重ねて定着。リーグ前半戦だけで7得点を奪うなど、C大阪の快進撃を支えることになった。
コンバートが成功した要因は何だったのか。今季からC大阪で指揮を執っているユン・ジョンファン監督は、「(コンバートは)うまくいくか、いかないか、五分五分だった」と打ち明けるが、鳥栖での監督時代から、当時、鹿島でプレーしていた山村の能力に注目していた。
「(C大阪で監督をすることが決まって)改めて自分なりに彼の特長を見ると、後ろで使うより、前で自由に動いてもらった方がいいのではないか」という考えに至った。