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Jリーグ 7年前

山村和也が語る“トップ下コンバート”の実際。C大阪・ユン監督に見抜かれた潜在能力

2017シーズンの明治安田生命J1リーグ前半戦で最大のサプライズと言える、セレッソ大阪・山村和也のトップ下コンバート。彼はなぜトップ下にポジションを移したのか。そして本人はこのコンバートをどのように捉えているのか。8月7日発売の『フットボール批評issue17』では、山村本人へのインタビューを敢行。センターバックやボランチを主戦場としてきた選手が、異例のコンバートについて打ち明けた胸中の一端をここに公開する。(取材・文:小田尚史)

text by 小田尚史 photo by Maiko Tsujimura, Getty Images

今季のJ1前半戦、最大のサプライズ

セレッソ大阪のMF山村和也
セレッソ大阪のMF山村和也【写真:辻村真依子】

 今季のJ1リーグ前半戦で最も大きなサプライズとなったのが、C大阪・山村和也の“トップ下コンバート”ではないだろうか。公式戦で初めて披露されたのが、第2節の浦和戦だった。

 この試合、ベンチスタートとなった山村だが、1-3でリードされた73分、丸岡満(長崎へ移籍)と交代でピッチに入ると、杉本健勇との2トップに近い位置を取り、柿谷曜一朗が左サイドに回った。

 すると、以降の時間帯は、運動量が落ちた浦和に対し、C大阪が高い位置からボールを奪う場面も増え、攻勢を仕掛けた。80分には、柿谷のクロスに山村が惜しいヘッドを放つシーンもあった。

 今後につながる可能性を大いに感じさせた“山村の前線起用”だが、この時点ではあくまでオプションの域を出ないかに思われた。

 開幕前の宮崎キャンプから試されていた形とは言え、山村本人も、「まさかトップ下でこうやってシーズンを通してプレーするとは、(その時は)思い描いていなかったですね(笑)」と今回のインタビューで率直な感想を打ち明けている。

 ただし、第3節の札幌戦でトップ下として先発した山村は、以降もこのポジションを主戦場として試合を重ねて定着。リーグ前半戦だけで7得点を奪うなど、C大阪の快進撃を支えることになった。

 コンバートが成功した要因は何だったのか。今季からC大阪で指揮を執っているユン・ジョンファン監督は、「(コンバートは)うまくいくか、いかないか、五分五分だった」と打ち明けるが、鳥栖での監督時代から、当時、鹿島でプレーしていた山村の能力に注目していた。

「(C大阪で監督をすることが決まって)改めて自分なりに彼の特長を見ると、後ろで使うより、前で自由に動いてもらった方がいいのではないか」という考えに至った。

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