強くなるのは「手段であって、目標ではない」。J2長崎・髙田社長、最大の強み

1億2000万円の赤字を出す事態に陥り、4月から株式会社ジャパネットホールディングスのグループ会社として再出発しているJ2のV・ファーレン長崎。経営再建の歩みはどのように進んでいるのだろうか。8月7日発売の『フットボール批評issue17』では、新社長である髙田明社長へのインタビューを敢行。この取材後、長崎新経営陣最大の強みを感じさせられる出来事があった。(取材・文:海江田哲朗)

2017年08月10日(Thu)9時59分配信

text by 海江田哲朗 photo Tetsuro Kaieda
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「昔、ライオンズクラブでご一緒したことがありますよ」

V・ファーレン長崎の髙田明社長
V・ファーレン長崎の髙田明社長【写真:海江田哲朗】

 地方取材のときは、その土地の喫茶店に行くのをささやかな楽しみとしている。

 コーヒーチェーンが幅を利かせ、コンビニで挽きたてコーヒーが100円で買える時代だ。前時代的な個人経営の喫茶店は減少の一途をたどっている。

 この場合、カップルがウフフと見つめ合い、きれいに盛りつけられたランチプレートを出すような、こじゃれたカフェには用がない。まして、テーブルの隅に「女子会にいかがですか?」とポップが飾ってある店は論外だ。僕が求めるのは、たとえば学生時代、なんにも予定がなくて時間を持て余す夏の午後、友だちと会って「お茶でもすっか」と出向いた喫茶店だ。

 ぶらっと街を歩き、気が向いた店に入る。ほぼ運まかせの都合、当たり、ハズレはある。それがおもしろい。もっとも評価の基準はあいまいだ。コーヒーの味は重要なポイントと考えられるが、僕は味の違いがよくわからない。口に含み、おいしいと思えればそれでいい。小一時間ほど、煙草を吸ったり、本を読んだりしながら、ぼんやり過ごす。

 佐世保市の中心地にある『山本コーヒー』も、そんなふうに立ち寄った喫茶店だった。メニューには名物の佐世保バーガーやレモンステーキがあったが、あいにく食事は済ませていた。カウンターに座り、ホットコーヒーを注文する。最初、床に散らばる落花生の殻に面食らった。アメリカンスタイルだ。佐世保には米軍基地がある。通りを行き交う人々は国際色豊かだ。

 コーヒーに添えられた落花生を剥き、ピーナッツを口に放り込んで殻を床に落とす。僕の不慣れな仕草を見てか、「フフッ、気持ちいいでしょ?」と店主が小さく笑った。いい店だなと思った。コーヒーも美味い。

「どちらから? お仕事ですか?」と尋ねられ、来訪の目的をかいつまんで説明した。自分は雑誌の記者だということ。ジャパネットたかたの創業者である髙田明氏がV・ファーレン長崎の社長に就任し、話を訊きに東京から来たのだと。最後に、自分はもともと九州の人間だから里帰りの気分と付け加える。これを言わずにはいられないのはなぜだろう。

 店主がグラスを拭きながら言う。

「髙田さんとは、昔、ライオンズクラブでご一緒したことがありますよ。ユニークな方でね。この頃はごぶさたしていますが」

 ライオンズクラブは全国各地にあり、社会奉仕活動を目的とする友好団体だ。主に経営者で組織され、希望すれば誰でも入会できるわけではない。簡単に言えば、その地域の名士が集う。

 そこで、僕は先ほど終えたばかりの髙田社長のインタビューを思い返していた。

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