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Jリーグ 7年前

磐田・中村俊輔、主役であり黒子に。稀代の名手がジュビロの仲間と進める歩み

8月19日、明治安田生命J1リーグ第23節が開催され、ジュビロ磐田はセレッソ大阪との試合を1-1の引き分けで終えた。先制点を許す展開となったが、86分に中村俊輔がショートコーナーから川又堅碁の同点弾を演出。名波ジュビロ加入から7ヶ月、周囲との連係を磨き上げたサックスブルーの背番号10がまばゆい輝きを放っている。(取材・文:青木務)

text by 青木務 photo by Getty Images

「一人で勝ち点10を持っている」(名波浩監督)

セレッソ大阪戦で同点弾をアシストしたジュビロ磐田のMF中村俊輔
セレッソ大阪戦で同点弾をアシストしたジュビロ磐田のMF中村俊輔【写真:Getty Images】

 起死回生の同点ゴールが決まると、中村俊輔は沸き上がる感情を右の拳に込め、思い切り振り下ろした。

 明治安田生命J1リーグ第23節、ジュビロ磐田はホームにセレッソ大阪を迎えている。1点のビハインドを背負いながら試合終盤の86分、川又堅碁のヘディング弾で引き分けに持ち込んだ。勝つことはできなかったが、負けなかった。両者はリーグ開幕戦でも勝ち点1を分け合った。たとえ結果は同じでも、得たものの価値の大きさは比べるまでもない。

 磐田加入以来、天才レフティーは多くのものをチームにもたらしている。勝利を呼び込み、この試合のように窮地を救い、周囲の成長を助けるなど、あらゆるシーンで存在感を発揮する。

「一人で勝ち点10を持っている」

 名波浩監督は、背番号10をこのように評する。今シーズンの磐田の戦いぶりとエースのパフォーマンスを照らし合わせれば、指揮官の言葉にも納得がいく。

 C大阪戦でも勝ち点1獲得に貢献した。ショートコーナーからリターンを受けると柔らかいクロスを送り、川又の今シーズン9得点目をお膳立て。「あれを首で持っていけるのはなかなか日本人ではいないので、彼の良さが出たと思う」と中村俊輔はたたえる。川又は後ろに下がりながらのヘッドを沈めたが、このストライカーの身体能力が如実に表れていた。

『ここに走り込んで飛べばチャンスになる』というところに合わせるキックは、常にゴールの予感を漂わせる。黒星を覚悟せざるを得ない今回のホームゲームでも、中村俊輔の左足はごく自然に輝いた。

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