フットボールチャンネル

日本代表 7年前

【識者の眼】香川真司の生きる道。ロシアW杯で輝くために、今こそ必要な攻撃のスペシャリティ

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリルホジッチが確立した新たな勝ち方。香川にチャンスは?

 そう語る香川に悲壮感はなく、厳しい現状も前向きに捉えていることは間違いない。ただ、オーストラリア戦で[4-3-3]のインサイドハーフを務めた山口蛍と井手口陽介が見せたプレーは、香川の特徴と異なるものであったのも事実だ。仮に香川が良い状態でこの代表ウィークに入っていたとしても、戦術的な理由で先発していなかったかもしれない。それほどオーストラリア戦の狙いは明確だった。

 中盤で相手の起点を封じ、ボールを奪い、素早く裏のスペースを突く。指揮官が2ヶ月前から研究していたというオーストラリアに対し、見事なまでにはまった戦術と選手起用は香川の立場に大きく影響するものだったのだろうか。それはイエスともノーとも言えるだろう。

 オーストラリア戦で日本代表が見せたパフォーマンスはハリルホジッチ監督が2年半植えつけてきた方向性がダイレクトに出たように見えるかもしれない。実際にスタンダードである守備の“デュエル”や裏を積極的に狙う意図は明確だったが、オーストラリアのシステムやスタイルに応じた戦い方も表れていた。

 例えば素早くサイドの背後を狙うことで、相手の3バックの弱点を突くためのプランが普段以上に出ていた。相手のボランチにインサイドハーフの2人が徹底してプレッシャーをかけるというのも、現在のオーストラリアが必ずと言っていいほど彼らを起点としたショートパスからチャンスを作る傾向を見抜いた上での作戦だった。

 このオーストラリアと同じシステムやスタイルのチームが相手であれば、まさしく井手口と山口のインサイドハーフが最もはまるかもしれないが、攻撃の起点や攻め方が異なるチームであれば、守備の狙いどころも変わってくる。またオーストラリアと違い、あらかじめサイドにスペースを与えてくれないチームに対しては縦を狙う前の段階で中盤のタメや崩しのバリエーションも必要になってくる。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top