川崎F・車屋紳太郎、SB転向3年目で挑む日本代表。ハリルが探し求める左利き選手の武器

日本代表に初選出されたDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)が、新たな武器を身につけつつある。セレッソ大阪をホームの等々力陸上競技場に迎えた9月30日の明治安田生命J1リーグ第28節で、コントロールを重視した低速クロスで後半7分のDFエウシーニョのゴールの起点になった。大黒柱のMF中村憲剛も絶賛する身体能力の高さに、稀有な左利きの左サイドバックだからこそ放てる技ありのクロスを融合させて、ハリルジャパンへの定着をかけた戦いに挑む。(取材・文:藤江直人)

2017年10月02日(Mon)11時27分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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左足から放たれた丁寧で緩やかなクロス

川崎フロンターレのDF車屋紳太郎。10月の親善試合に向けた日本代表メンバーに名を連ねた
川崎フロンターレのDF車屋紳太郎。10月の親善試合に向けた日本代表メンバーに名を連ねた【写真:Getty Images】

 ゆっくりとしたインスイングから、利き足である左足のインサイドでボールの芯を軽く蹴った。緩やかなカーブ回転がかかった山なりのクロスが、セレッソ大阪ゴール前へと落ちていく。

 ターゲットはニアサイドで存在感を放つ187センチの長身センターバック、マテイ・ヨニッチの後方に広がるスペース。あうんの呼吸で、キャプテンのFW小林悠が勢いよく飛び込んでくる。

 ホームの等々力陸上競技場で9月30日に行われた明治安田生命J1リーグ第28節。日本代表に初招集された川崎フロンターレの左サイドバック、車屋紳太郎が新たな武器を発動させた。

「ちょっとフワッと置く感じで、勝負のボールでした。(小林)悠君からもああいうボールをよく要求されているので。右サイドからサイドチェンジのパスが来て、こっちがかなり空いていたのでほぼフリーだった。いいボールを上げられたのかな、と思っています」

 2点のリードで迎えた後半7分だった。右サイドにおける細かいパス交換から一転して、MF中村憲剛が大きなスペースが広がっていたペナルティーエリアの左側へ絶妙のパスを通した。

 ワンバウンドしたボールを胸でトラップした車屋が、落ち着いて左足でボールを整えて顔を上げる。慌てて距離を詰めてきたセレッソの右サイドバック、松田陸が視界に入ってもまったく動じない。

 利き足であり、なおかつゆっくりとスイングするから正確無比なコントロールをつけられる。速いクロスを予測していたのか。もう一人のセンターバック、山下達也の反応も微妙に遅れてしまう。

 完璧なタイミングで宙を舞う小林との空中戦は山下に軍配が上がるが、体勢を崩していたゆえに大きく弾き返せない。右サイドに転がったボールを、DFエウシーニョが豪快にゴールへ蹴り込んだ。

 セレッソの戦意をさらに喪失させる3点目を導いた、車屋をして「ボールを置く感じで蹴った」と言わしめたコントロール重視の低速クロスは、鬼木達監督が課す練習のもとで磨かれたものだった。

「監督が時々クロスのメニューを入れてくれるんですけど、そのなかで速いボールを蹴るだけではなく、緩いボールも蹴るトレーニングをさせてくれるので。そこは使い分けられるようになってきているのかな、と思っています」

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