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日本代表 7年前

【識者の眼】武藤&乾、異タイプの能力引き出す長友佑都。ハリルJ、左サイドの戦術的多様性

text by 河治良幸 photo by Getty Images

武藤&乾が躍動の裏で…2人の活躍支えた長友の存在

長友佑都
左サイドバックの位置から、武藤や乾のプレーを助けた長友佑都【写真:Getty Images】

 一方で後半25分に投入された乾貴士は6月のシリア戦や予選突破を決めたオーストラリア戦でその実力を証明済みだが、武藤からの交代により特徴が明確に表れた。

 まずは足下でボールを受けながら、縦のドリブルとカットイン、さらには途中からインサイドハーフに入っていた小林祐希との絡みなど、試合前に乾が語っていた周りを使うプレーを駆使して攻撃に幅を生み出した。

 後半42分の勝ち越しゴールは乾が一度サイドチェンジを入れ、そこから再び左に展開されたところから乾が縦に仕掛け、クロスをファーサイドで酒井宏樹が折り返したボールに倉田が飛び込んで合わせた形だが、最初のサイドチェンジが相手のディフェンスを揺さぶり、右サイドバックの酒井宏が高い位置まで攻め上がれる状況を生んだのだ。

 ただ、ここで認識したいのは武藤と乾という全くタイプの異なる選手が機能するベースを整えた長友の存在だ。

 高い位置に張りながらワイドポストや飛び出しを得意とする武藤、やや下がり目の位置でパスワークに絡み、ドリブルやサイドチェンジを織り交ぜて厚みのある攻撃を構築する乾という両者の特性を後ろからサポートし、時に追い越して絡んだ。

「連係もすごく良かったですし、オーバーラップしたら僕を使ってくれたり、あるいは、囮にして中に入ってチャンスを作ったり、前半から武藤とも、乾ともいい関係ができて、すごく良かったんじゃないかなと思いますけどね。ただ、アシストかゴールに繋がる結果が欲しかったですけどね」

 そう振り返る長友は守備のバランスも考えながら前線をサポートし、タイミングよく追い越す動きで絡んでいたが、武藤と乾では長友の絡み方も明確に変わっていた。その長友は2人の生かし方をこう説明する。

「武藤は自分で仕掛けたいタイプなので、彼の1対1を作ってあげたりとか、逆に言えば、僕が囮の動きでオーバーラップして彼が中に入って行くとか、そういうことを考えていましたし、乾の場合は彼がボールを持つと、僕がオーバーラップしていいタイミングで使ってくれたり、リズムができてくる」

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