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Jリーグ 6年前

大宮・石井正忠新監督が挑む「奇跡のJ1残留」。残り3試合で4ポイント差、火中の栗を拾う覚悟

text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie, Getty Images

セカントステージ4連敗からCS優勝。鹿島での経験

2016年は鹿島アントラーズ時代をJリーグチャンピオンシップ王者に導いた
2016年は鹿島アントラーズをJリーグチャンピオンシップ王者に導いた【写真:Getty Images】

『フットボール批評issue18』(11/6発売号。カンゼン)ではアルディージャからオファーを受ける前の、次なるチャレンジへ向けて充電中だった石井監督にロングインタビューを行った。そのなかでフロンターレ、そして浦和レッズを連破し、8度目のJ1王者を勝ち取るまでのプロセスをこう語っている。

 おりしも当時のアントラーズはセカンドステージを4連敗で終え、最終的には6勝2分け9敗と負け越し、ファーストステージ制覇から一転して、順位も二桁の11位で終えていた。それでもネガティブな思考には「まったく陥ることはなかった」という。

「4連敗についても、例えば後半は圧倒していたとか、決定機は多く作っていたとか、内容は決して悪くなかった。記者の方やクラブ内の雰囲気はちょっと後ろ向きになっていましたけど、私自身はまったく異なる感覚でチャンピオンシップを見すえていた。

だからこそ準決勝までの中断期間で守備の組織を徹底させました。相手が川崎と浦和ということで、ボールをもたれる時間が長くなると想定して、前からプレッシャーをかけてボールを奪いにいく守備に加えて、しっかりブロックを敷く守り方も徹底的に整理したことがよかったんじゃないかと」

 守備の安定が攻撃陣にも相乗効果を及ぼし、結果としてチーム全体が好転していく。同じような経験を、石井監督は現役時代に黎明期のアントラーズでも経験している。

 開幕前に行ったイタリア遠征で、ジーコが急きょ呼び寄せ、実現させたクロアチア代表との練習試合で0‐8の惨敗を喫した直後だった。当時の宮本征勝監督(故人)に「私に指導を任せてほしい」と訴えたジーコによる、微に入り細の守備練習が幕を開けた。

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