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Jリーグ 6年前

大宮・石井正忠新監督が挑む「奇跡のJ1残留」。残り3試合で4ポイント差、火中の栗を拾う覚悟

text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie, Getty Images

「システムを含めて、大きく変えようとは思っていません」

 ならば、短期的なビジョン、つまりはアルディージャを奇跡のJ1残留へ導く処方箋には何が描かれているのか。アントラーズを率いて4月1日に対戦し、1‐0で勝利している石井監督の目には、今シーズンのアルディージャは「チームとしての一体感が少し欠けている」と映っていた。

「一人ひとりの選手は頑張っているので、監督として私が選手たちをまとめ、引っ張っていくことが重要だと思っています。ただ、いままで戦ってきた大宮アルディージャというチームがあるので、システムを含めて、大きく変えようとは思っていません。

 選手が能力を出し切れていない部分があるとも感じていますので、そこを変えていけば新たなアルディージャの形ができていくと思っています。現場だけではなく、クラブ全体が一丸となって残り3試合を戦っていけるように、現場のリーダーとしてチームを作り直していきたい」

 現時点における総得点28はリーグワースト3位タイであり、総失点52は同2位タイ。もっとも、勝利するにはゴールを奪わなければいけない。それでも真っ先に修正を加えるポイントとして、石井監督は「守備を徹底すること」をあげている。

「守備面で全体を連動させたい。ある程度自陣に引き込んで守ることはできていると思うので、そこへもっとアグレッシブに、自分たちからアクションを起こしてボールを奪いにいく。その形は私も鹿島のときにやってきたので、このチームでも引き続きやっていきたいと思います」

 石井監督には確固たる成功体験がある。セカンドステージを戦い終えて、中断期間に突入していたちょうど1年前。川崎フロンターレとのJリーグチャンピオンシップ準決勝へ向けて、石井監督は攻撃ではなく守備を再確認させることに大半の時間を割いた。

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