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Jリーグ 6年前

J1昇格PO目指す東京V。幾度もの危機を経て。ロティーナ監督の功績と数年来の積み重ね

11月19日に最終節を迎える明治安田生命J2リーグ。勝ち点67で6位につける東京ヴェルディは、おなじく勝ち点67の5位徳島ヴォルティスをホーム・味の素スタジアムに迎える。今季から指揮を執るミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の功績は大きいが、数年来積み重ねてきたものもこの成績に寄与していることは間違いない。勝利すればJ1昇格プレーオフ進出が決まる一戦。果たしてどのような結果が待っているだろうか。(取材・文:海江田哲朗)

text by 海江田哲朗 photo by Getty Images

京都戦、終了間際に投入された背番号8

東京ヴェルディのMF中後雅喜。プレーオフ圏内争いの渦中にあるチームを下支えしている
東京ヴェルディのMF中後雅喜。プレーオフ圏内争いの渦中にあるチームを下支えしている【写真:Getty Images】

 アディショナルタイムは5分と表示された。J2第41節、昇格争いに生き残りを懸ける東京ヴェルディが、京都サンガF.C.を1‐0とリード。人数をかけて押し込んでくる京都に対し、東京Vは守りを固め、懸命に逃げ切りを図る。

 90+3分、タッチライン際に立つ背番号8が見えた。中後雅喜だ。最後の守備の引き締め、および選手交代によってゲームの流れを切り、時間を稼ぐ意図も含まれる。結局、中後のプレータイムは3分にも満たない。目立った仕事もない。最終的に勝利のピッチに立っていたこと。それがすべてだった。

「相手に点をやることなく、勝点3をつかむ。その役目は監督から言われなくても自分で感じていましたからね。声がかかるまで、そういうつもりで準備をしていました」(中後)

 致命的なエラーを避けるべく味方に落ち着きを与え、ゲームを無事に閉じる仕事。誰にでもできる仕事ではないが、率先してやりたいと手を挙げる選手はまれだろう。ボールを持って、違いを出せると自負する選手ならなおさら。

「メンバーから外れ、ここに来られなかった選手もいます。チーム事情、選手間の競争の結果、我慢しなければいけないときはある」

 僕の頭には、2015シーズンの中後の活躍が鮮烈に刻まれている。正確なロングパスで攻撃の起点となり、守備でも中盤のフィルター役として貢献し、40試合4得点。あのときの東京Vは、間違いなく中後のチームだった。最終節までJ1昇格プレーオフ出場の望みをつないだが、セレッソ大阪に0‐2と敗れ、8位に終わっている。

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