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「サポーターに獲らせたかった」。川崎Fのキャプテン小林悠、初優勝に感無量

text by 編集部 photo by Getty Images

小林悠
悲願のJ1初制覇で小林悠の笑顔がはじける【写真:Getty Images for DAZN】

 明治安田生命J1リーグ最終節が2日に行われ、川崎フロンターレは大宮アルディージャに5-0で勝利。他会場で2ポイント差だった首位・鹿島アントラーズがジュビロ磐田と引き分けたため、勝ち点で並び得失点差で上回った川崎Fが悲願のJ1初制覇を果たした。

「元旦の天皇杯2位でスタートして、ACLもいけるんじゃないかなという中で、浦和レッズに負けて敗退して、ルヴァンカップ決勝も負けた時はこのチームは呪われてんのかなって、正直思うくらい。本当に2位しか取れないんだなって思った。本当にそういう苦しいのがあったけど、そんな中で今日タイトルを獲った時は最後まで諦めないでみんなで戦ってきて、本当に良かったなというのが一番ですね」

 大宮戦でハットトリックの活躍を披露し、川崎Fの初優勝を引き寄せたキャプテンの小林悠の口からいの一番に出てきたのは、安堵の言葉だった。

 昨季終盤から今季開幕前にかけて、小林には移籍の噂もあった。それでも「フロンターレでタイトルを獲りたいと思って残りましたし、そういう気持ちで1年間やってきた」と語るストライカーは、「タイトルを獲れた時は、本当にフロンターレに残ってよかったなと思いましたし、本当にフロンターレに関わるすべての人にありがとうを言いたいと思いました」と遠くを見ながら、しみじみと語る。

「(中村)憲剛さんは僕より特に長いですけど、僕も一応プロ入って8年目で、サッカー選手なら誰しもがこの(タイトルの)ためにやってきていると思います。特に僕たちは2位が多いので、本当に悔しい思いをしてきましたけど、本当にサッカー選手になってよかったなと思いましたし、フロンターレに残ってよかったなと思いました」

 選手の多くがターニングポイントに挙げたのが、今季のルヴァンカップ決勝だった。セレッソ大阪にあと一歩のところで屈し、またも表彰セレモニーを眺めるだけになってしまった。小林が「自分の中で真っ白だったので、正直負けた後のことよく覚えていない」と語るほどのショックが川崎Fに降りかかった。

 それでも立ち上がって、J1優勝のために戦えたのはサポーターの応援があったからこそ。「(初タイトルを)本当にサポーターに獲らせたいと思って。正直ルヴァン決勝もすごく自信があって、絶対にタイトルを獲れると思って臨んだんですけど、自分含めてチームみんながあまりいい動きができなかった。難しいシーズンでしたけど、それでも今日あれだけ大声援を送ってくれていたサポーターに、本当におめでとうと言いたいですね」と、小林は感慨深げにサポーターへの感謝を述べる。

「フロンターレのサポーターは温かいですし、周りから甘いとか言われますけど、逆にブーイングされないプレッシャーというか、ずっと応援してくれているのに負ける申し訳なさというか、それもすごくありました。フロンターレの色というのがあるので、その中でサポーターにもタイトルを獲らせてあげられたのは、キャプテンとしてもすごく嬉しく思います」

 川崎Fの歴史に新たな1ページを刻んだキャプテンは、心強いサポーターの声援を力に、そして王者になった自信を身につけてこれからもゴールに向かって突き進んでいく。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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