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Jリーグ 6年前

佐藤寿人が名古屋で求めた喜び。5クラブを渡り歩いたベテランFWの献身【谷間の世代と呼ばれて】

シリーズ:「谷間の世代」と呼ばれて text by 元川悦子 photo by Getty Images

「本当に俺らは『谷間』だったのかな」

 結果としてワールドカップには参戦できず、夢だった海外移籍にも踏み切れなかったが、Jリーグで比類なき実績を打ち立て、長くピッチに立ち、今なお高みを目指し続けているのは賞賛されるべきこと。

「谷間の世代」と言われた彼の仲間には同じような選手が数多くいる。今となっては「本当に俺らは『谷間』だったのかな」と本人が改めて問題提起するほど、高いレベルでコンスタントにプレーしている面々が少なくない。

「何であの『谷間の世代』って言葉が出てきたんだろうね……。あの言葉が僕らを傷つけ、逆に発奮させ、努力させたのは確かだと思います。だからこそ、多くの選手が第一線で長くやれている。

 自分も『やってやる』って気持ちはつねに持ってました。南ア(W杯)で同期のメンバーが活躍した時は『俺もあの場に立ちたかった』と悔しかったし、本気でイタリア行きも考えたけど、『広島でタイトルを取るんだ』って切り替えてそれを果たした。その経験は大きな財産になってます。

 今季もJ1を目指して戦えたことがすごく幸せ。いかに勝ち点3を積み上げていくかという課題に集中できたから」と佐藤寿人は全身全霊を込めてピッチを走り続けられる今を心から楽しんでいる。その時間が来季以降も長く続くことを祈りたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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