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Jリーグ 6年前

社会現象化した横浜F消滅。「合併劇」を追ったフリーライターの記憶【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

初めてのスポーツの仕事が合併問題

 たぶん、その日(10月29日)のニュースか新聞の早刷りで、フリューゲルスとマリノスの合併のことを知ったんだと思います。「ああ、〈カントナ〉さんたちが言っていたのは、このことなんだろうな」って。当時のフリューゲルスの認識って、「前園(真聖)がいたチーム」くらいしかなかったんです。

 そしたら、フリューゲルスの熱狂的な友だちから「何でこんなことになったのかわからない!」って、泣きのメールがバンバン入ってきたんですよ。今だったらLINEなんでしょうけど。

 で、その友だちからのメールがあまりにしつこかったので、何気なく「合併したら、来季はF・マリノスの応援をするの?」って返信しちゃったんですよね。

 そうしたら、瞬時に「そんなこと、できるわけなかろうがーっ!」って、ものすごい怒気のこもったメールが入って。それを読んで、ようやく私も「大変なことが起こったんだな」と思うに至りました。はっきり言って、それまではまったくの他人事だったんですけどね。

 それで夕方にSPA!の編集部に行って、副編集長にフリューゲルスの話をしたら「経費を出すから(取材に)行ってきて」って言われて、横浜国際競技場に駆け付けたんです。

 それが私にとってフリューゲルスとの最初の接点であり、初めてのスポーツの仕事でした。なぜ横国だったかというと、その日の夜に全日空スポーツの事務所でサポーター代表を集めての説明会があったんです。

 で、そこに入れなかった人たちが、スタジアムにどんどん集まっているという情報が、どこからともなく入ってきていたんですよ。私自身、それまでまったくフリューゲルスの取材していなかったので、事務所よりもスタジアムに行ったほうがいいだろうと判断しました。

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