ロシア行きの選手が多数出れば、理想的なシナリオ
中国戦で40m超のロングシュートを決めた昌子もロシア当確と言われるが、守備面では不安定さも垣間見せている。北朝鮮戦では谷口彰悟(川崎)と初めてセンターバックコンビを組んだこともあって、何度か相手の侵入を許し、背後に陣取る中村航輔(柏)のスーパーセーブに救われる形になっていた。中国戦も土居聖真、山本脩斗の鹿島トリオの三角形を崩されて決定的スルーパスを入れられるシーンがあった。
一瞬のミスが致命傷になるのは、本人が誰よりもよく分かっていること。そういうスキがあったがゆえに、最終予選終盤に吉田麻也(サウサンプトン)のパートナー役をつかんだにもかかわらず、槙野智章(浦和)に定位置を奪回されるに至ったのだ。
ここから再び成りあがっていくために、韓国を完封したい。キム・シンウク(全北現代)、チン・ソングク(済州)ら強力FW陣をいかに守るか。4年前のゲームではユン・イルロク(FCソウル)にミドルシュートを決められたことも忘れてはいけないだろう。寄せが甘ければ遠目からでも打ってくるのが韓国だ。そこは守備陣全体で共有すべき部分。昌子が中心となって意思統一を図っていくことが肝要である。
4年前の劇的勝利を経験している高萩洋次郎(FC東京)は「韓国は相変わらず球際が厳しいし、チームとしてまとまっている。相手を打開するためには、ボールをしっかり速く動かして、タテへの出し入れができれば、相手もボールに食いついてくると思う。そこをかわせればチャンスになる」と試合のキーポイントを語っていた。
ラストパスの成功率を上げることに関しては、ハリルホジッチ監督もここ数日、選手たちに強調している点。それを増やすことが、小林らFW陣の得点アップにも直結する。貴重な生き証人の経験値も注入して、まずは3戦全勝の完全制覇を果たすこと。
そのうえでロシア行きの切符をつかむ人間が多数出れば、理想的なシナリオと言っていい。泥臭く貪欲に戦う国内組の姿をぜひとも見せてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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