“ハリルの呪縛”に縛られた選手たち。歴史的惨敗の原因、後味の悪さだけが残った日韓戦

2017年12月18日(Mon)15時12分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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「前へ、前へ」を忠実に守ろうとした選手たち

 FW伊東純也(柏レイソル)の突破がキャプテンのDFチャン・ヒョンス(FC東京)のファウルを誘い、PKを獲得したのはある意味で嬉しい誤算だった。小林のPKがゴール左隅に決まった瞬間、キャプテンを務めるDF昌子源(鹿島アントラーズ)はベンチに確認している。

「このゴールはなかったものだと思って、前から行っていいのでしょうか」

 指揮官は迷うことなく首を縦に振った。しかし、望外の先制点が意識に微妙な影を落としたのか。日本は全体的に重心が後ろに下がってしまう。図らずも孤立気味になった小林が必死に戦う姿を、ベンチから川又はこう見つめていた。

「前半は悠君しか相手を追っていない場面があった。相手の3人を悠君だけで追うのは無理ですから。ああいうところで、もっともっと前からいくサッカーをしないと」

 対する韓国は7月から指揮を執るシン・テヨン新監督のもと、日本を徹底的に研究し、入念な対策を講じてきた。ようやくボールを奪っても、攻め手がなかったと昌子は振り返る。

「何せブロックを作るのが早かった。僕と(三浦)弦太が顔を上げたときには、完全に11人がそろっていて中を締められた。ラインも低く僕らが背後に蹴れないようにして、無理をして真ん中に速いボールを入れれば、両センターバックやボランチがすかさず前に出てきて潰しにきた。

 ならばサイドに出してもサイドで数的優位を作られ、僕らがバックパスをすれば全員が再び所定のポジションに戻る動きをひたすら繰り返していた。韓国には本当に隙がなかったし、そういう状況で僕らがどのように戦うのかが、今日の試合に関しては最後まで曖昧だった」

 つけ入るスペースがないのに、キックオフ前にハリルホジッチ監督から命じられた「前へ、前へ」を忠実に守ろうとしてボールを失う。警戒していた196センチの巨漢ストライカー、キム・シヌク(全北現代)にロングボールを集められるたびに、日本のラインがさらに後ろへ下がっていく。

 間延びさせられたうえに主導権を握られ、13分、23分、35分と立て続けにゴールを割られても、ハリルホジッチ監督に動く気配はなかった。2点のビハインドで迎えたハーフタイムのロッカールームでも、喝を入れるだけで具体的な指示も出さなければ、戦況を変える選手交代もなかった。

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