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日本代表 6年前

検証:ハリルJ、日韓戦4失点の要因。組織の不徹底、判断ミスによる負の連鎖【識者の眼】

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ズルズルと侵入を許してしまった3失点目

 そして35分の3失点目は中村から伊東へのゴールキックをヘッドでクリアされたあとの展開だが、セカンドボールからのつなぎに対するディフェンスが曖昧になったことに加え、イ・ジェソンに対する車屋のデュエルが弱く、中まで完全に入り込まれたことでバックラインの対応も非常に難しくなった。

 一度イ・ジェソンにプレスバックしかけた土居がステイしたのは全体のバランスと右SBのコ・ヨハンのケアを考えてだろうが、深いエリアで1対1を作られる危険性を考えればそのまま挟み込む形を取るべきだったかもしれない。

 ただし、問題はボールを持ったイ・ジェソンに入り込ませてしまった車屋、さらに植田がキム・ミヌに付いて中に流れる状況で外側を突いたキム・シンウクをフリーにさせてしまった三浦にあるが、そもそも植田がキム・ミヌをマークしたまま中に入り込む必要があったのかという疑問もある。

 むしろキム・ミヌをすぐ三浦に受け渡して植田がアウトサイドを埋めていればキム・シウンウクにフリーで持たれることはなかった。

 ただ、三浦の視線と体勢は車屋がイ・ジェソンに完全に突破された場合に備えるものになっており、どちらの形を取るにせよ、植田のコーチングがしっかり聞こえていなかった可能性もある。

 そもそも中盤も前掛かりになった流れで倉田が今野と土居の間を埋め切れていないなど、前半の半ばにして全体が間延びしてしまっており、攻守の切り替わりにおける守備組織の基本型が崩れてしまっていたこともある。

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