横浜FMのポスタコグルー新監督、その哲学と本質。クラブと代表で積み上げた“革命”の実績

エリク・モンバエルツ監督が今季限りで退任する横浜F・マリノスは、来季からチームを率いる新監督にアンジ・ポスタコグルー氏を迎えた。今年11月までオーストラリア代表監督を務めてロシアW杯出場権を獲得、さらにブリスベン・ロア時代には36戦無敗という偉業を成し遂げた指揮官は、どのような人物で、どのようなスタイルを持っているのか。ブリスベン・ロア時代から同監督を取材する現地在住記者が紐解く。(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)

2017年12月22日(Fri)16時40分配信

text by 植松久隆 photo Getty Images
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横浜FMの新監督が決定。その名は「アンジ」

アンジ・ポスタコグルー
11月までオーストラリア代表を率いたアンジ・ポスタコグルー氏が横浜FMの新監督に就任【写真:Getty Images】

 20日、横浜F・マリノスの新監督に豪州代表前監督のアンジ・ポスタコグルーの就任が決まり、クラブから正式に発表された。

 筆者は、この決定を聞き、非常に感慨深いものを感じた1人だ。アンジ(筆者注:豪州では、ファンやサポーターは親しみを込めてこう呼ぶ)に取材対象として初めて接したのは、Aリーグの2010/11年シーズン後半。彼がブリスベン・ロアを率いて、結果的に36戦無敗というとてつもない記録を成し遂げることになる快進撃の最中だった。

 翌2011/12シーズンは、日系カナダ人の中島ファラン一生が加入したこともあって、筆者はチームに密着した。そうするうちに、次第に彼に導かれたチームがピッチ上に具現化させるオージーらしからぬサッカー・スタイルに魅了されていった。

 ここで、話を少し脱線させることをお許し願いたい。彼の名前の表記について一家言あるので、書かずにはいられない。

 筆者のロアの取材は、それまで日本のメディアで活字になることのなかった監督や選手たちのカタカナ表記を、英語での発音に基づき、できるだけ忠実に書き表すところから始まった。その中でも東欧、南欧系の名前は馴染みが薄いものが多く、広報やローカルの記者にゆっくり発音してもらって、カタカナ表記にしたものだ。チームを率いる指揮官の名前のカタカナ表記「アンジ・ポスタコグルー」も、そのような経緯から世に出た。

 しかし、名前のスペルからの連想だけで実際の発音を一顧だにしない「アンジェ・ポステコグルー」なる表記が、ロアの2012年のACL出場以降、散見されるようになる。その後、大手メディアが追随した結果、「アンジェ・ポステコグルー」がディファクト・スタンダードとなり、「アンジ・ポスタコグルー」を駆逐しようとしている。

 今回の新監督就任決定を伝える横浜FMの公式ウェブサイト、豪州大使館の記事も「アンジェ」表記。筆者のような一介のライターが抵抗したところで何も変わらないかも知れないが、カタカナ表記とは言え、人の体を表わす大事な名前の一部。たかだか促音「ェ」一文字の違いではあっても、できるだけリアリティのある呼び方をするべきではないかーー駆逐される前の断末魔の叫びを書き留めておきたい。

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