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Jリーグ 6年前

横浜FMのポスタコグルー新監督、その哲学と本質。クラブと代表で積み上げた“革命”の実績

text by 植松久隆 photo by Getty Images

豪州代表を変えた“ポスタコグルー革命”の内幕

 当時の代表の主力は、キャプテンのDFルーカス・ニール、GKマーク・シュウォーツァーなどのいわゆる“黄金世代”のメンバーがまだ多く名を連ねていたが、彼は思い切った選手の入れ替えを図り、世第交代を漸次、進めていった。

 その変革を生き残ったのが、新体制の主将ミレ・イェディナク、欠かせない守備のユーティリティのマーク・ミリガン、そして絶対的な得点源ティム・ケーヒルらで、彼らは新体制でも変わらぬ存在感を発揮し、チームの骨格をきっちりと形作るのに欠かせない顔ぶれとなった。

 新しく台頭してきた選手と旧体制から残った選手との融合がかなり進んでから臨んだ2014年のブラジルW杯では、チリ、オランダ、スペインと難敵ぞろいのグループに入った。3連敗でグループリーグ敗退にもかかわらず強豪相手に真っ向勝負を挑み、将来的な可能性を感じさせる戦いぶりで批判らしい批判は起きなかった。

 2015年、“ポスタコグルー革命”とも言われた彼の主導した変革が自国開催のアジアカップで大輪の花を咲かせた。グループリーグで韓国に敗れるも、その韓国に決勝できっちりリベンジを果たして、2005年の黒船到来と言われたAFC転籍以来始めてとなるタイトルを獲得、「アジア王者」の称号を手に入れたのだ。

 そして迎えたのが、2018年のロシアW杯アジア予選。2次予選から臨んだ豪州は、8戦7勝1敗でグループBを難なく首位で通過するも、日本と同組に入った最終予選では思った以上に勝ち点を積み上げられずに、まさかの3位フィニッシュでプレーオフに望みを託すこととなった。

 この最終予選の過程で、ポスタコグルーは長年慣れ親しんだ4バックから3バックへの大転換を敢行。新布陣が付け焼刃の状態で臨んだ強敵相手のコンフェデレーションズカップでそれなりに善戦を見せたこともあって、周囲の懐疑的な声を抑えて、完全にフィットしきれていない3バックのままで予選を戦いぬくことを選んだ。

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