日本代表でつかんだ「もっとできる」自信を胸に
昨年12月、伊東純也は初めて日本代表のユニフォームをまとってピッチに立った。東アジアの頂点に立つことはできなかったが、EAFF E-1サッカー選手権で印象に残るプレーを披露。持ち味であるスピードを生かした突破力を遺憾なく発揮し「もっとできると思うし、やれる自信はある」と本人も手応えをつかんでいた。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も「彼の仕掛ける能力、抜き去る能力、サイドで違いを生む姿を評価したい」と伊東のプレーを高く評価するなど、飛躍の1年になった。
そうして迎えた新シーズン。2018年初の公式戦は、先月30日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の予選プレーオフ、ムアントン・ユナイテッド戦だった。伊東はもちろん先発出場。これまでどおり柏レイソルの右サイドに陣取った。
しかし、プレーを見て驚かされた。昨年までの伊東とは違う。試合が始まってすぐにそう感じた。それでも結果は1ゴール2アシストと数字になって現れた。3-0で快勝した試合を終えて、伊東のアシストから2ゴールを奪ったFWクリスティアーノに尋ねた。
「日本代表にもなったが、今年の伊東のプレーに何か変化や成長を感じますか?」
クリスティアーノは「変わらないね。彼はいつも通りだよ」と答える。
伊東自身にも「日本代表選手として迎えるシーズン、心境やプレーに変化はありますか?」と尋ねてみた。だが彼にも「そこはあまり意識していない」とはぐらかされてしまった。結局のところ「チームを引っ張っていけるように」という思いは変わらないようだ。
それでもプレー面では明らかに昨季とは違った狙いを持っているようだった。まず伊東の立ち位置が変わった。昨季は純然たる右ウィングのそれ。右サイドに張ってボールを待って縦に仕掛ける。ゴール前にスペースがあれば、そこに対して猛スピードで突進していく。最前線のクリスティアーノや、浦和レッズへ移籍したMF武富孝介と絡みながら、自慢のスピードをフルに生かす動きがメインだった。
一方、ムアントン戦での伊東のポジショニングはいい意味であいまいだった。相手の5バックよりも手前、左サイドバック、左センターバック、左セントラルMFが作る三角形のちょうど真ん中がスタート地点。そこからボール状況に合わせて動き出してボールを呼び込む。