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香川真司 6年前

ドルトに流れるDNA、“標準装備”再搭載で無失点。酒井高徳が「試行錯誤」の守備を実践

text by 本田千尋 photo by Getty Images

古くからのDNAの有効活用

マルコ・ロイス
ドルトムントはマルコ・ロイスが復帰【写真:Getty Images】

 見方を変えれば、ゲーゲンプレッシング=ドルトムントのDNAは、シュテーガー体制となってなお、BVBにとって不可欠な要素であり、ここにきて復元してきた。もちろんゲーゲンプレッシングは、今では欧州のトップレベルのチームであれば、ほとんど標準装備となっており、他のクラブに差を見せつけるような真新しさはない。それでもシュテーガー監督がポゼッション型を嗜好するのであれば、やはりゲーゲンプレッシングは標準装備であって然るべきだ。何より復帰したロイスを筆頭に、香川真司、ウカシュ・ピシュチェク、ヌリ・シャヒン、ゲッツェら、ユルゲン・クロップ体制を知る選手たちが今もなお起用される現状を鑑みれば、古くからのDNAを有効活用することは、合理的とも言えるだろう。

 シュテーガー体制への移行によって、途切れかけたドルトムントのDNAは、修復され、再び勝利への不可欠な要素となったのだ。

 もっとも、73分には、酒井とアンドレ・ハーンのコンビネーションで右サイドを崩され、決定機を作られた場面もあったように、守備は改善されてきたとは言え、決してパーフェクトだったわけではない。まだまだ修正の余地はある。

 しかし、15日から始まるヨーロッパリーグの決勝ラウンドに向けて、守備のオーガナイズが進み、試合を無失点で終えたことはやはり大きいのではないか。

 香川の負傷離脱といったネガティブな要素もあったが、ロイスの帰還、バチュアイの適応、さらにDNAの復権…総じて先につながるポジティブな要素が上回った、HSV戦だった。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

【了】

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