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Jリーグ 6年前

名波ジュビロ、生みの苦しみとの対峙。王者に屈した開幕戦、0-3からのリスタート

text by 青木務 photo by Getty Images , Tsutomu Aoki

“左肩上がり”の重心を、王者は見逃さなかった

 昨季はJ1で6位に入り、リーグ最少失点も達成した。結果を出すことで、名波ジュビロは自信を深めていった。今季は、そうした積み重ねを確信へとバージョンアップさせようとしている。そのためには、やはり相当な成功体験を得なければならない。それは、公式戦でこそ手にできるものだ。

 キックオフカンファレンスの時点で、開幕まで1週間弱の時間があった。チームは今季初戦に向けて、着々と準備を進めてきたはずだ。この間にポジティブな変化もあったかもしれない。しかし、エコパスタジアムのピッチで笑ったのは、サックスブルーではなかった。

 新加入の選手ではギレルメがスタメン出場を果たした。左ウイングバックは中へボールを持ち込むプレーでチームを活性化。積極的な攻撃参加で相手の先手を取ろうとした。また、一列前のアダイウトンも相変わらずの突進力を示し、22分には自慢の加速からGKとの一対一に持ち込んでいる。

「(ギレルメが)左サイドでハマれば、ブラジル人コンビになる。内に秘めた熱さのアダが前にいて、ヤンチャなギレがどんどん上がって行く、後ろから追い越して行くという絵面をイメージしている」

 名波監督が期待していた通り、相手ゴールへ向かう姿勢は随所に見られた。だが、攻撃に傾き“左肩上がり”になった重心を王者は見逃さなかった。

 川崎Fはショートパスを織り交ぜつつ、サイドのスペースを活用していく。スピードに乗った小林悠やエウシーニョが厄介なのは言うまでもないが、さらにサックスブルーを困らせたのは、1トップに入った知念慶の存在だった。ゲームキャプテンの大井健太郎が言う。

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