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日本代表 6年前

【岩政大樹×マリ戦】ハリルJに足りなかったワイドな攻めへの対応力。磨くべき世界仕様の距離感

シリーズ:岩政大樹×〇〇 text by 編集部 photo by Getty Images, Kenzaburo Matsuoka

チームで「同じ画」を描けるか。ウクライナ戦の注目ポイントは?

ハリルホジッチ
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 チーム全体として縮まってしまえば身体能力の差は出ませんが、広がったままではどうしても個々の能力や身体能力の差が出やすくなります。マリよりもウクライナの方が対応はしやすいはずですから、次の試合では選手同士の距離感が良くなっているように見えるかもしれません。

 とはいえ、それによって守備が良くなったと錯覚すべきではありません。ワールドカップでは対戦相手がもっとレベルの高いチームになりますから、選手同士の距離感はチームとして微調整を進め、より緻密に詰めていくべきだと思います。

 ここまで守備の話をしてきましたが、結局サッカーは攻撃と守備が一体となって動きます。今の状態だと「ボールをどのように前線に運んでいくか」の画がどうしてもチームとして揃っていないので、そうすると守備のスタートもハマらなくなってしまいます。

 今は攻守ともに自分達がプレーしながらハマっている感覚がないと思います。うまくいっていない感覚で話しているような選手たちのコメントも出ていますので、攻守にどちらでも同じ画が描けるものをいくつか用意しておくと、その画が揃った時に全員が少し気持ち良くプレーできます。どちらかが良くなれば逆側も良くなるんですよね。

 そうなると他のプレーも少しずつ良くなってきて、相乗効果が生まれるはずなので、ウクライナ戦では攻守において同じ画を描けるシーンがいくつか出てくるといいなと思います。立ち上がりや、少し停滞した試合が落ち着いてきた時間帯、流れによって戦い方が変わってくる終盤の時間帯で1つずつくらいは同じ画が見えるといいのではないでしょうか。

 マリ戦では相手が日本のプレーに慣れてきた時間になると、みんなの解決策が全く揃わない感じに見えました。「こうなった時はこれをやろう」というのが揃っていると、みんなが前向きに戦えます。仮にうまくいかなくても、そこから見えたものを次にやろうという試合の運び方をしていくと、それ以外のうまくいかない部分も好転していったりするので、気持ちがポジティブになっていきます。流れによってみんなで少しずつ解決策を見出して、それをチーム全体でで共有していける試合になるといいですね。

(分析:岩政大樹、構成:編集部)

【了】

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