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日本代表 6年前

本田圭佑が説くハリルJ意識改革。「一歩一歩、一人一歩で11歩」。当落線上でもチーム優先

text by 元川悦子 photo by Getty Images

共有すべき8年前の経験。今こそ必要な意識改革

 今回の攻撃陣は1トップに杉本健勇(C大阪)が陣取り、左FWに原口元気(デュセルドルフ)、トップ下に柴崎岳(ヘタフェ)が入る形が有力視される。本田が右に入った場合、杉本とは代表戦でのプレー機会が皆無という不安要素があるものの、柴崎と原口はお互いの特徴をよく知っている。

 2016年10月の最終予選・オーストラリア戦(メルボルン)の得点シーンも本田が起点となって原口が仕留める形。ハリルホジッチ監督の理想に近いゴールで、2人の相性は悪くない。柴崎もリズムを作れる選手だけに、うまく連携すれば本田が生きる場面も増えてくるはず。そういった前向きな要素を生かして、2016年9月のアジア最終予選・UAE戦(埼玉)以来のゴールという明確な回答を求めたい。

 本田がマリ戦で不発に終わった久保裕也(ヘント)、今回リストから漏れている浅野拓磨(シュツットガルト)らに勝たなければならない状況にいるのは確かだが、危機に直面しているのは彼だけではない。

 今はチームそのものも絶体絶命の苦境に立たされている。2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会の両ワールドカップに主力として参戦した男にしてみれば、日本代表を世界の舞台で勝てる集団へと導く責務がある。

 長谷部誠(フランクフルト)や長友佑都(ガラタサライ)も同じ責任感を抱いているが、現時点で当落選上にいる本田はチームのことを考えられる余裕はないはず。それでもフォア・ザ・チーム精神を忘れないのが彼の長所。本田は1人ひとりの意識改革の必要性をあえて声高に言い続けているのだ。

「2010年(南ア大会)はギリギリでミーティングして良くなったんですよ。『基礎に戻ろうぜ』ってところで。そんなので良くなるのもサッカーだし、ホントにそれをやらないといけないと思うんです。一歩一歩ですよね。一人一歩で11歩なわけですよ。それを全ての場面で縮めて言ったら、失点もないかもしれない。得点もできるかもしれない。2010年よりも自分が経験して今のチームに与えられるものが大きいので、マネージメントはできる。みんなが自信を持ってピッチ上で自分を出せるような雰囲気作りは必要でしょう」と彼は改めて個人にフォーカスすることで、チーム全体を飛躍させようと躍起になっている。

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