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日本代表 6年前

ハリル流の限界? 「デュエル」で勝てず「縦に速く」で崩せず。このままではミラクルも起きない

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「W杯はよりレベル高い。正直厳しい」(長友)

 終盤の日本は相手がペースダウンしたこともあって、途中出場のジョーカー中島翔哉(ポルティネンセ)や久保が何度か決定機を迎えたが、相手GKの好セーブもあって決めきれない。フィニッシュの課題をまたも露呈してしまう。

 2ヶ月半後のロシアワールドカップ本番に向けて勝利のスパイラルを作るはずだったこのゲームは結局、1-2の完敗。昨年11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦に続く未勝利で、メンバー発表前最後のテストマッチを終える格好になった。

 この戦いぶりを見ても分かる通り、日本はウクライナに個の部分で明らかに負けていた。コノプリャンカに好き放題にやられた酒井高徳に象徴されるように、守備面で1対1に勝てない選手が数多く見受けられた。

「1対1の勝負に勝てずにはがされると、次がズレて、マークがズレて、全てがズレていく。右サイドの僕も含めて1対1の部分では勝っていかないと。ワールドカップではこのレベル以上の選手たちと対戦するんで正直、厳しいですよね」と長友佑都(ガラタサライ)も指摘していたが、デュエルを重視するハリル戦術を貫こうと思うなら、個の部分で勝つことが大前提。

 しかしながら、ロシアワールドカップ出場権を逃し、オレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・シティ)のような次世代を担う若手も出ていた今回のウクライナ相手にこれだけ崩されると、守備のやり方自体、考え直さなければならない状況だ。

「今回はケガによって3~4人の選手を欠いていた。大会の時にはもう少し競争力のある戦を見せられると思う」とハリルホジッチ監督は語気を強めたが、仮に吉田麻也(サウサンプトン)や酒井宏樹(マルセイユ)らが揃っていたとしても、相手のタテへの推進力や巧みなサイドチェンジに振り回されなかったとは言い切れない。

 酒井高徳のサイドが翻弄されると分かっているなら、複数人数で守りにいくなど、もっと組織で戦うことを考えないとこの状態は続くだろう。時間帯によって自陣にブロックを敷く形を含め、相手の出方に応じてチームとして緻密に連係しながら守る術を乱さなければ、ロシアでは惨敗も覚悟しなければならないかもしれない。

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