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日本代表 6年前

【識者の眼】柴崎岳が示した崩しのビジョン。低調ハリルJで数少ない希望の星に

text by 河治良幸 photo by Getty Images

まずはヘタフェでポジション奪還を。W杯出場なるか

柴崎岳
柴崎岳がワールドカップ出場を果たすために。まずはヘタフェで定位置を奪還しコンディションを整えることが必要だ【写真:Getty Images】

 シュートを打つ意識は大事だが、冷静にどの選択をするかはケースバイケースだ。そこで得点に結びつけば正解なわけだが、重要なのはそうしたシーンをより多く作り出し、チャンスの回数を増やすこと。またチャンスにおいてゴールにより近づくための周囲とのイメージを高めていくことだ。確かにウクライナのディフェンスはタイトでスライドも素早かったが、コロンビア、セネガル、ポーランドはそれぞれ守備の特徴があり、簡単に隙を与えてくれない。

「(ゴール前に運び切れなかったのは)連動性が欠けていた部分だと思うんですけど、具体的にはここに受けるだろうなという予測のもとに先に動き出す必要があると思いますし、もうちょっと後ろからの動き出し、2列目やサイドバックからタイミングの良い動き出しがあれば、前で持っている選手もさらに選択肢が増える。そこは修正が可能というか、もっと(自分からも)言っていける部分だと思います」

 そう語る柴崎にとって目下の課題はヘタフェでしっかりと試合に出てコンディションを高め、体力面を強化するとともに、さらに感覚を研ぎ澄ませていくことだ。前回の欧州遠征の選考を前にした昨年9月のバルセロナ戦で鮮やかなゴールを決めながら、その後のプレーで左足を痛めてしまった柴崎は2ヶ月近い離脱を強いられ、そこから完璧にフィットしているわけではない。

 ここから残りのシーズンでポジションを取り戻し、リーガエスパニョーラでコンディションと実戦感覚を高めていくことが日本代表メンバーの最終選考につながるとともに、ワールドカップ本大会に向かうベースとなる。今回の苦い経験を糧に個を高めた仲間と再び代表で再会する時に、チームのベースをどこまで高いところに引き上げていけるかに注目したい。

(取材・文:河治良幸【リエージュ】)

【了】

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