フットボールチャンネル

日本代表 6年前

【英国人の視点】ハリルJが抱える深刻な不安。指揮官の誤算、欧州遠征で露呈した脆さ

日本代表は欧州に遠征して戦ったマリ代表、ウクライナ代表との2試合を1分1敗で終えた。プレーの内容からは結果以上にポジティブなものが見られず、残ったのは失望と不安だった。ワールドカップ本大会まで3ヶ月を切った今、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いるチームは何と向き合うべきなのだろうか。(文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

あまりに大きかった吉田麻也の存在感

吉田麻也
吉田麻也の離脱はハリルJにとって痛手だった【写真:Getty Images】

 国際親善試合での敗戦や低調なパフォーマンスは、さほど重要なものではないとして片付けられてしまうことも多い。レギュラー選手が欠場していたり、出場機会の乏しい選手に力を見せるチャンスが与えられたりするような試合でもある。

 さらに楽観的に考えれば、こういう試合は、チームが今後取り組んでいくべき弱点を見つけ出すために欠かせない学びの機会だと捉えることさえできる。

 だが、日本代表がウクライナに敗れた27日の試合について問題視すべきなのは、この試合で特定された課題は以前から慢性的に存在するものであり、手早く修正する手段があるようには思えないことだ。リエージュでの試合を終えた時点でワールドカップまで残りわずか84日(この記事が読まれている時点ではさらに短い)だということを考えれば不安は拭えない。

 スタッド・モーリス・デュフランでの試合では、チームの守備面には本当の意味での堅固さは全くみられなかった。ウクライナは、必要があると感じた時にはいつでも好きなように突破できるかのようだった。後方からサポートする選手もたびたび参加し、広大なスペースと時間を得てパスやシュートを選択することができていた。

 その理由の大部分は吉田麻也の負傷にある。今回の不在を通して、29歳のセンターバックがいかにチームに欠かせない存在であるかが改めて浮き彫りにされた。

 選手全員が揃った状態なら、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は吉田のパートナーとして槙野智章を選ぶことになりそうだ。2試合ともに90分間プレーしたその槙野も、昌子源も植田直通も、ベルギーの2試合でのプレーが極端に悪かったわけではない。

 それでも日本の最終ラインは、サウサンプトンのセンターバックが指揮を執らなければ、統制が取れている状態とは程遠かった。守備から攻撃に転じようとする場面であまりにも簡単にボールを失ってしまうことが多すぎた。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top