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日本代表 6年前

【英国人の視点】ハリルJが抱える深刻な不安。指揮官の誤算、欧州遠征で露呈した脆さ

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

日本代表の最も深刻な不安の種

 4バックには、もうひとりの選手の不在も大きく響いていた。宇賀神友弥はマリ戦で散々なパフォーマンスを見せ、警告を受けてPKを与えたあとハーフタイムで交代させられてしまった。酒井高徳はウクライナの攻撃陣に何度も狙われ、あわやオウンゴールという場面もあり、攻撃参加にも苦戦していた。最近の酒井宏樹がいかに良かったかが強調された形だ。

 マルセイユ所属の酒井宏樹は右サイドで堅固な守備を見せるだけでない。前に出てチームの組み立てをサポートする意欲を見せ、自ら仕掛けることも多い。そういったプレーがこの2試合では決定的に欠けていた。最終ラインと中盤、中盤と前線のリンクは全く印象に残らなかった。

 実際のところ、ハリルホジッチ監督はこの状況に不安を感じていることだろう。特に中盤では、長谷部誠は彼らしくないルーズなプレーを見せ、山口蛍は存在感を発揮できず、森岡亮太も柴崎岳も中盤でフリーロールを与えられるほど強烈なアピールはできなかった。

 つい最近まで、そのポジションは井手口陽介のものになるかと思われていた。だがリーズへ移籍し、クルトゥラル・レオネサへレンタルされたあと、2月半ばから試合に出場していないという状況でポジションを失ってしまった。

 その中盤とファイナルサードを繋ぐ選手の不在こそが、6月19日に行われるコロンビアとのワールドカップ初戦に向けて、おそらく最も深刻な不安の種となるだろう。マリやウクライナのように堅実ではあるが豪華とは程遠い相手に対し、効果的にボールを動かしてチャンスを生み出すことができないのであれば、サランスク、エカテリンブルク、ヴォルゴグラードで行われる強豪国との真剣勝負で日本代表はどう戦うことができるというのだろうか。

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