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ローマの2つのOGは不運にあらず。必然だった、その理由。バルサが示した歴然たる実力差

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

実力差は歴然。ローマがベスト4進出を果たすには…

 後半、ローマはハイプレス時の守り方を変えた。ゴールキックなどある程度布陣が整った状態では、両サイドハーフが相手の2センターバックをマークし、1トップのゼコはアンカーのブスケッツをケアする。ローマの守備意識が強まったことで前進を阻まれたバルセロナは、GKのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンはじめ後方部隊がミスを犯し、何度かピンチを招いていた。

 しかし、ローマのハイプレスは、後方のサイドバックが連動しきれないなど後半を通して完璧に遂行されたわけではなかった。それ故、プレッシングを剥がされた時の代償は大きく、右ではメッシ、左ではアンドレス・イニエスタが4-1-4-1のアンカー脇にできる広大なスペースを享受し、チャンスをいくつか作った。

 バルセロナはボールを奪われた後の守備への切り替えも素早く行っていたため、徐々に相手守備陣を押し込む時間帯を増やしていった。すると55分、コーナーキックの流れから再びオウンゴールを奪い、大きな追加点を得る。

 その4分後、相手の攻撃を食い止めたバルセロナは、今度はメッシを中心としたロングカウンターで相手ゴールに迫り、最後は一直線にオーバーラップしてきていたジェラール・ピケがゴールネットを揺らした。

 終盤の80分、ローマは攻勢に出た時間帯にゼコのゴールで1点を返したものの、その後87分にはルイス・スアレスがダメ押しとなる4点目を決めた。

 ローマは全体的に組織的な守備を見せたものの、ミスから失点を招き、それをバルサ相手に覆すだけの力、そして戦略的柔軟性を持ち合わせていなかった。ボール保持やカウンター攻撃であまり力を発揮できなかったことを考えると、勝ち抜けに最低でも3得点が必要となる2ndレグでは、今回失敗に終わったハイプレスの精度を上げ、より高い位置でボールを奪うことが重要となるかもしれない。

(文:長坂祐樹)

【了】

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