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ローマの2つのOGは不運にあらず。必然だった、その理由。バルサが示した歴然たる実力差

バルセロナの勝ち抜けは決定的だろうか。現地時間4日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝1stレグ、ローマを4-1で粉砕したバルセロナはイタリアの雄に力の差を見せつけた。スコアボードにはオウンゴールが2つ記載されているが、不運ではない。ローマは敗れるべくして敗れたのである。(文:長坂祐樹)

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

ローマのプレスを難なくかわしたバルサ

ピケ
ジェラール・ピケは果敢なオーバーラップからバルサの勝利を決定づける3点目を挙げた【写真:Getty Images】

 現地時間4日、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝1stレグが行われ、バルセロナがホームにローマを迎えた。

 バルセロナの本拠地カンプ・ノウに乗り込んだローマは、立ち上がりから積極的な姿勢を見せた。相手がキックオフから右サイドのセルジ・ロベルトに出したボールをすぐさまカットすると、素早い縦の攻撃を仕掛けて相手ゴールを襲った。

 最終的にボールはサイドラインを割ったものの、そこからはバルセロナのビルドアップを寸断すべく最終ラインを高く設定し、前線の選手もマークを離さないこととボールを奪うことを意識した守備を行っていた。

 しかし、結果的にハイプレスは効果を発揮しなかった。通常バルセロナに対して高い位置からボールを奪おうとする際は、まずは2人のセンターバックとアンカーをマークしてボールの出所を遮断することが定石となる。

 この3人は、わずかな隙があれば前線へとボールをつなげてしまうからだ。今回の試合、4-1-4-1のローマは守備時、1トップのエディン・ゼコが相手センターバックへのプレスをかけた後にサイドハーフやインサイドハーフが連動する仕掛けを用意していなかったため、容易にバルセロナに前進を許していた。

 一方で、ミドルサードや自陣深い位置におけるローマの守備は、中央を圧縮した規律あるもので、失点を許さないという明確な意図を感じさせた。1トップのゼコ以外は、ボールを基準にしたポジショニングで常に危険なスペースを埋めていたため、必然的にバルセロナは外を循環させるボール回しやボールを奪ってから攻撃に切り替わる局面で素早く相手の守備を崩すことを試みるようになっていった。

 14分と18分には比較的ボールを持つ余裕のあったサミュエル・ウンティティとセルヒオ・ブスケッツから、左サイドバックのジョルディ・アルバへロングパスが渡りチャンスが生まれた。右サイドのネウソン・セメドとセルジ・ロベルトは、縦へのドリブルでプレスをはがすなど、個の力によってローマの守備を崩そうとした。

 ローマは中央を圧縮した守備でバルサにほとんど決定的なチャンスを与えずにいた。しかし38分、自陣でボールを奪われ相手の素早いカウンターを食らったローマは、守備ブロックが乱れた状態で相手の攻撃を抑えきれず。最終的にペナルティエリアへ侵入したリオネル・メッシへのパスを防ごうとしたダニエレ・デ・ロッシが痛恨のオウンゴールを献上した。

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