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Jリーグ 6年前

広島が復活を遂げた要因。首位快走の原動力、共有する理想と現実のバランス

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

首位キープ。広島好調の一因

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佐々木翔の決勝ゴールで柏レイソルに勝利した【写真:Getty Images】

「今日のゲームはやっぱり、前半のうちに2点目を取らなきゃいけなかったと思う。取れていれば展開も変わってきたと思うので。取れなくても無失点に抑えられたというのは今後に繋がっていくのかなと思うけど、前半に2~3点奪って、試合を決めてしまうのが理想かなと」(和田)

 前節の川崎フロンターレ戦後には、川辺駿も2点目の重要性を述べていた。

「1-0で勝つのはもちろん大事。今はそういう時期だし、結果が重要なので。ただ、もうちょっと安定して得点が取れると、上の方を狙っていけるかなと。ここからさらに上に行くためにはゴールがもっと必要になる」

 川辺の言う「上の方」とは、現在ではなくシーズンが終わった時の順位だろう。背番号36は「失点が少ない割に得点が取れていないと思う」とも話す。いい守備がいい攻撃に繋がるという意味では、広島のゴール数はもっと伸びていても不思議ではなく、川辺にもその自負があるようだった。柏戦も1点にとどまったが、猛攻を撥ね退けたという点ではポジティブに捉えられる。

 この試合の勝者が広島であること、彼らが首位をキープした事実は変わらない。「多少、守備の時間は長いけど、やっぱり勝っているということで、自分たちのやっていることが間違っていないんだという自信もある」とは和田の言葉だが、背番号33はこうも語る。

「まだ理想のサッカーではないかもしれないけど、それを最初からやるんじゃなくて、現実に立ち返ってできることから始めて、そこからどんどん理想のプレーや時間を増やしていくというやり方ができているのかなと」

 チーム全体が同じ方向を見ながら一つひとつ課題を消化し、成功体験を増やしながら自信を深める。今の広島にはそうした好循環が生まれている。

 課題はあっても、迷いはない。広島が順調に勝ち点を積み重ねている一因ではないだろうか。

(取材・文:青木務)

【了】

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