広島MF稲垣祥、「城福イズム」の申し子が快進撃の象徴に。磨き上げた「走り」という武器

シーズン開幕前の低かった下馬評を覆し、J1で快進撃を続けるサンフレッチェ広島。その中心にいるのが、プロ5年目のMF稲垣祥である。ヴァンフォーレ甲府時代の恩師である城福浩監督と再会し、指揮官の考えを深く理解する26歳は、飛躍のときを迎えようとしている。(取材・文:藤江直人)

2018年04月20日(Fri)14時00分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images for DAZN
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好調・広島を支える驚異の運動量

稲垣祥
サンフレッチェ広島の稲垣祥【写真:Getty Images for DAZN】

 相手のボールホルダーにアプローチする姿が、猟犬とダブって見える。絶対にあきらめることなく、執念をむき出しにしながら、何度でも間合いを詰めていく。7勝1分けとJ1で唯一無敗をキープし、首位を快走するサンフレッチェ広島の中で、ボランチの稲垣祥は否が応でも異彩を放つ。

 中盤のあらゆるエリアに顔を出すから、必然的に走行距離も増える。柏レイソルとのJ1第6節でマークした13.028kmを最高に、先発フル出場した7試合の平均は11.865km。ダブルボランチを組むキャプテンの青山敏弘と並ぶハイレベルな数字であり、スプリント数も1試合平均18.43回に達している。

 プロの世界を生き抜いていくうえでの、最大にして最強の武器だと自覚しているのだろう。自身が出場した7試合ではわずか1失点と、J1で群を抜く堅守の源になっている泥臭さと激しさを問われたプロ5年目の26歳は、胸を張りながらこんな言葉を残している。

「相手ボールを刈り取る力は僕の長所だし、J1の中でもトップクラスだと自負しています。味方が出ていったスペースを埋める、あるいは自分が前に出ていくうえでの運動量も含めて、自信をもって、どんどん前面に出していかなければいけないポイントだと思っています」

 城福浩新監督に率いられる、新生サンフレッチェの隠れたキーマンと言っていい。ボランチとして暴れ回りながら、後半途中からは左サイドにポジションを移すパターンも定着しつつある。言うまでもなく、相手にサイド攻撃の起点を作らせないために、衰えを知らない稲垣の運動量で蓋をするためだ。

 たとえば敵地で2‐0で快勝した15日の湘南ベルマーレ戦では、78分から左サイドに回っている。昨季までサンフレッチェで9年間プレーしたMFミキッチが、直前に右アウトサイドの位置に投入されたときから心の準備を整えていたと稲垣は笑う。

「事前には何も言われていませんけど、暗黙の了解でわかっていました。ミカ(ミキッチ)が入ってきたから、そこを押さえてほしいと」

 新チームの始動が1月22日とJ1で最も遅く、かつ序盤戦で昨季の上位と立て続けに対戦する日程を見た指揮官は、人もボールも絶え間なく動き、見ている人の心をも動かす『ムービング・フットボール』を浸透させるよりも、開幕までにまずは守備組織を完成させるチーム作りを優先させた。

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